第九幕その四
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山奥を進みました、するとジップがお鼻をくんくんさせて言いました。
「いるよ」
「熊君達がだね」
「三匹いるよ」
それだけだというのだ。
「大きい熊にね」
「子熊が二匹だね」
「その匂いがするよ」
ジップは匂いからこのことをわかったのです、そしてです。
先生は先の方にです、こう声をかけました。
「熊君達いいかな」
「おや、気付いたのね」
「僕達のことに」
「気付いたの」
「君達に会いに来たんだよ」
先生は声がした方に自分から言いました。
「お話しにね」
「ふうん、そうなのね」
「じゃあお母さん、今からね」
「お話してみる?」
「銃の匂いはしないし」
「危険な香りはしないよ」
子熊らしき二匹の声がお母さん熊に言っていました、まだ声だけですがそれがわかるやり取りでした。
「それじゃあね」
「お話してみよう」
「そうね、人だけれど」
それでもとです、お母さん熊の声が言いました。
「この匂いは危険なものじゃないよ」
「ドリトル先生だよ」
王子が熊の声がする方に言いました。
「僕達は先生と一緒にいる人間と動物達だよ」
「あら、ドリトル先生なの」
「先生のことは聞いてるよね」
「ええ、噂でね」
そうだとです、お母さん熊の声が王子に答えました。
「聞いてるわ」
「それじゃあね」
「あのドリトル先生ならいいわ」
お母さん熊の声は安心しているものでした。
「私達の味方だから」
「それじゃあね」
「今からそっちに行くわね」
「うん、じゃあね」
「僕達もね」
「確かにいい匂いね」
子熊達の声がしてです、お母さん熊の声も言うのでした。
「匂いで敵か味方ってわかるからね」
「そうだよね、悪い人からは悪い匂いがして」
「銃というか火薬の匂いってあるからね」
「ええ、前に教えたけれどそうした匂いがしないから」
だからだというのです。
「それじゃあね」
「ここは先生とお話しよう」
こうしてでした、お母さん熊がです。
二匹の子熊を連れてです、そのうえで先生達の前に出て来てそのうえで先生達に挨拶をしてからでした。
先生にです、あらためてお話をするのでした。
「私達のことを聞きたいのね」
「うん、いいかな」
「何でも聞いて、こうしてお話も出来るし」
熊の言葉で、です。
「先生が聞きたいことをね」
「それじゃあね。君達棲家はあるね」
「いい洞窟があるわよ」
「そこで冬眠もしていたね」
「この子達も産んだわよ」
子熊達をいとしげに見てです、お母さん熊はお話しました。
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