三話、私の聖剣が奪われた瞬間
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に必要不可欠なものである「因子」を持っていた。
それも天然の「因子」という大変希少なものであるために、ゼノヴィアは私が思っているほど、もっと凄いかもしれない。
だって、私がゼノヴィアと会う前は、「斬り姫」って言われてたらしいし。今もだけど。
あー、私もそうだったらなぁ、とは思ったことあるけど、今になってはどうってことない。
だって、私も聖剣使いだからね!
「それで、儀式はすませたかのか?」
ゼノヴィアは、少し神妙な顔つきで私に問う。
ゼノヴィアの言う儀式とは、「因子」を持っていない者が、神からの与えられる慈悲によって「因子」を得られるというもの。
元より、ゼノヴィアのケースはこの世で10人もいないという。いや、もしからしたらゼノヴィアただ一人かもしれない。
「うん! もう終わったわ。あの時は人生で最も最高の日だったわぁ。ああ、いつも神からの慈悲を受けているのに、あんなことまでしていただけるなんて………」
「……そうだな」
私が恍惚にあの時の思いに浸っている傍ら、ゼノヴィアはそれしか言わず、少し表情が暗くし、また再びスープを啜る。
「ねぇ………どうかしたの? さっきから元気ないけど……」
「ああ……すまない。顔に、出ていたのか」
「悩みがあるなら私に言いなさい! それか私達の主に祈ればいいじゃない」
「………それじゃあ、お前にでも言うとするよ」
「むっ、その言い方はないんじゃない?」
「すまないすまない。助かるよ、イリナ………フッ、これで良いのか」
むむむっ。若干やる気のない抑揚だったけど、今回は良しっ。今日の紫藤イリナは許してあげます。
として、私はゼノヴィアの悩みを聞いたのだけれど。
私はゼノヴィアの話を聞きながら、少しばかり驚いた。
なんとあのゼノヴィアに幼馴染みがいたのだ。
それも一つ下の男の子。名前はデクタ・テイン、らしい。
キャッ、まさかゼノヴィアその男の子ことが……とは思ったけど、どうやらただの幼馴染みらしい。
本当にそうなのかなんて、私には分からない。ただ、ゼノヴィアがそう言うのならそうなのだろう。
「うーん、それで、そのデクタ君が幼馴染みなのは分かったけど、本題はそのあとでしょ?」
「ああ、実はそうなんだが……」
何故か言い淀むゼノヴィア。
うーん、やっぱりそれがゼノヴィアの悩みの種なのかなあ。
そんな私の心配をよそに、ゼノヴィアは、ざっくりと言った。
「うむ、実は誘拐されたんだ」
「え…………誘拐」
「いや、私もそこまで詳しくないのだが。……、そうだな。誘拐されたといっても……。確か綺麗なお姉さんに…………あれ、何だっけ」
「え、えー、ちょっと最後の気になるんだけど」
「というか、忘れた。な
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