二十八話:歴史と日常
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談していることだ。
病気じゃないんだけどなぁ……。
「と、ともかくだ。平和な世界を築いてくれたご先祖様だけでなく、歴史の闇に消えた名もなき者も忘れないようにな。本当の歴史ってのは有名な人間だけで築いてきたわけじゃないんだから」
未だに胡散臭そうな目を向けるみんなに話し終えるとヒラヒラと手を振って部屋の隅に移動し一人スナック菓子をついばむ。
そして誰も聞いていないことを確認したうえでボソリと呟く。
「俺ってそんなに信用がないのか……」
実はかなりへこんでいる俺だった。
無限書庫ツアーも終わりになり、それぞれが家路に着く中アインハルトちゃんだけはどこか憂鬱そうな顔を浮かべていた。
兄として慰めてやるべきかとも思ったが俺よりも先にヴィヴィオちゃんが動いたために俺は動かなかった。
情けないが俺よりもヴィヴィオちゃんの方がアインハルトちゃんに近い。
だからヴィヴィオちゃんに任せる。勿論手助けできるならいくらでもやるつもりだが。
「ヴィヴィオちゃん」
「はい、なんですか?」
「あいつを……頼む」
それだけ言ってヴィヴィオちゃんに深く頭を下げる。
最初は俺の行動にポカンと口を開けていたがすぐに何を言おうとしていたのかをくみ取ってくれて笑顔で頷いてくれた。
本当に優しくてよくできた子だよな。
「はい、任せてください! あ、それと私の知り合いのお医者さんにシャマル先生っていう人が居るんですけど良かったら検診を受けてみてください」
……本当に優しくてよくできた子だ。
100%善意で言ってくれているので溢れ出す涙が止まらない。
「ど、どうしたんですか急に?」
「いや、優しさが人を傷つけることもあるんだなと」
キョトンとして俺を心配するヴィヴィオちゃんをよそに俺はこの世の残酷な真理を知るのだった。
「リヒター、一緒に帰ろうやー」
「と、それじゃあな。ヴィヴィオちゃん」
「はい、頑張ります」
ヴィヴィオちゃんと別れてブンブンと手を振っているジークの元に行く。
さて、いつまでも引きずっていても仕方ないから切り替えていくか。
「今日はいろんなこと知れて良かったわー。今度は魔女っこともお話せんといけんし」
「そうだな。彼女とも話さないとな」
ヴィクターからの指令を果たす為に、給料アップの為に。
なによりロリジークを再びいじるために。
「でも……変えられない過去に苦しむっていうのも難儀なもんよね。私は個人の記憶がないだけマシやけどハルにゃんとか魔女っこはハッキリ覚えとるし。その分苦しみも大きいと思うんよ」
「……そうだな。だがお前も苦しんだのは同じだろ。どれだけ苦しくて辛いかなんて比べる意味がな
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