第二十六話
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ら下卑た笑い声が聞こえてきた。
ドアの前に潜むようにしゃがむ。はっきりと話し声が聞こえてくる。恐らく連中はドアの外までは聞こえていないと思っているようだ。
確かに、常人なら中の物音を聞きとる事なんて不可能なんだろうけど、俺の聴力は王女と契約して以後、異常にレベルが高まっているから筒抜けなんだ。
内容を聞いている内に俺の頭に血が上っていくのがはっきりとわかった。【ゴゴゴゴゴゴ】マンガでキャラクターに背景に出てくる効果音が本当に聞こえる。
内容を要約すると、こうだ。
あいつらが漆多を如月に変わる次のいじめの儀式の対象にしたということ。そのために教員を巻き込んだ罠を仕掛けて暴力沙汰を起こさせ弱みを握りそこからぐいぐいと更なる弱みに食い込んだこと。今後もそれでどんどんいくということを打ち合わせていたんだった。学生生活の鬱憤のはけ口が死んで困っていたけれど、次の相手が見つかって良かった良かったとみんなで大笑い始めた。
ぶ、ちん……。
俺の中で何かがぶち切れたんだ。
ドアノブを掴むと一気に開ける。
漆多に本当の事を言えなかった罪悪感。自分を責める感情の行き場のない怒りのはけ口をただ求めていただけのかも知れない。とにかく暴れたい。凶悪な衝動をどこかにぶつけたい。何もかもメチャメチャにしてやりたい。
普段考えたこともない思考がどろどろと俺の心の奥底から一気に表層に湧き出してくるのを感じていた。そして、俺はそれを止められそうもない自分を感じていた。
部室の中には如月を【いじめ抜いていた】主犯格の連中が顔を揃えていた。もちろん蛭町の顔もある。
何気にこいつらはサッカー部の連中だったんだ。スポーツをやってる奴に悪い人間はいないんじゃなかったのか? おい。
「なんやこらぁ! 」
と反射的に怒鳴る連中。急に開けられて驚いたのか?
一瞬、驚いた顔をした連中だが、すぐに見下すような笑みを浮かべて俺を見る。普段の俺を知ってるせいか奴らには相当な余裕があるみたいだ。
「フフフ、話は聞いたよ……。お前ら、まじで糞みたいな連中だな。漆多をよってたかっていじめの対象にしやがったんだな」
普段の声より数段低くなっているように聞こえる。
「はあ? ……ふふん、月人、お前何偉そうに言ってんの? 頭おかしくなったの」
一人が立ち上がり、俺のそばに近づいてたばこ臭い口臭をまき散らす。顔は知っているけどクラスは違うし、名前は何だったかなんて覚えてない。
「なあ、一応、お前達に言っておくよ、漆多のどんな弱みを握ったか知らないけどな。あいつにちょっかい出そうなんて考えてるんだったら、今すぐやめるんだ。……これは警告だよ」
「アホか? 月人。ついでだからお前にもこれやらしてやろうか? 」
そういって立っている名前の
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