交節・相対する狩人と魔刃・後
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またもガトウはたった一文字だけ発声すると、何を思ったか短剣を構えてライトめがけ猛進。
一本目の矢を紙一重で避けて、間、髪を入れずに二本目の軌道を僅かに反らす。
襲い来る三本目に対しては瞬きすらせず目の横を掠め通らせ、四本目を殴り折る。
最後の五本目は、屈みこんで超低姿勢からの前方跳躍でかわす。
叩き落とすことはおろか、歩みを―――否、走行を止めるすらしない。
「ウソだろ……っ!?」
もう既に弓の適正射程距離としては怪しい範囲まで踏み込まれ、ライトは腰を入れると上空描けて矢を三本撃つ。
それぞれ時間差を持って矢の雨が降り注ぐのだが、絶えず進んでいるガトウにはジグザグ走行をとられて当たらない。
正面から飛来した空気を穿って突き進む矢を、横一回転からステップして回避すると、ガトウは己の武器の最適なリーチまで肉薄した。
「それを、待ってたあっ!」
「……!」
そこで待ち構えるは両手槌。その鉄塊から電撃がほとばしり、本来は敵専用であるはずの、そしてライトはスキルのおかげで使用可能な【ナミング・インパクト】が振り下ろされた。
威力から防ぐことはできず、避けてもスタンさせられる。
これを起点に流れを変えるのだ。勿論、【ナミング・インパクト】を撃たれれば防ぐすべなど存在しない。
そして大道芸のごとき身のこなしを見せたが故に、ガトウはライトへ突っ込むしかなくなっている。
降り注げし稲妻の塊に、ガトウはただ眼を見開いてその様を凝視している。止める術などない……。
「うぎっ……?」
―――はずなのに、突如としてハンマーが遥か後方めがけて弧を描き、ものの見事に吹っ飛んでいく。
あり得ない光景が広がったせいで、振り下ろしかけた体勢そのままに固まったライトの目に…………再びあり得ない光景が飛び込んできた。
「……」
僅かに煙を上げ青緑色の粒子が噴き出している、『左拳』を突き出したガトウの姿が。
つまり先の光景は……
(ふざけんじゃねぇ……っ!? こ、こいつまさか―――
―――『左拳』の “一発” で重量武器のハンマーをぶっ飛ばしたってのか!?)
ガトウの手による、常軌を逸脱した光景に他ならない。
たかが一プレイヤーの身でそんな事が可能など、ゲームバランスがぼろぼろに崩壊しているとしか言えないだろう。
しかしながらライトも大したもので、驚愕に呻きながらもメニューを操作し、クイックチェンジで太刀を装備して構えなおしていた。
染み付いた動きが、ここで役に立ったのだ。
(どんな技でもいい……起点を作らなけれ
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