交節・相対する狩人と魔刃・後
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だが―――彼女の【リニアー】は、見切るがどうこうという問題ではない、“神速”。先までとは比にならない文字通りの必殺ならぬ『必中』技。
「やあああああっ!!」
左へ傾いたその動きを逆にミザールが利用し――――渾身の突きが解き放たれた。
刹那…………それは、幻だったのだろうか。
(えっ……?)
戦慄せん勢いを持つ彼女のレイピアが、ガトウの頭を“すり抜け” たのだ。
否、呆けてしまったその視界には既にガトウの顔など無く、こちらに背を向け『短剣を光らせている』彼の姿が映るのみ。
「……シッ!」
声は発さずとも尚聞こえるほど鋭く息を吐き、若干低くした体を半回転させ威力を乗せた、短剣の二連撃スキルがミザールの腹に命中してグラグラと体を揺らす。
そして、頭上に現れる “『Winner:GATO』” の文字。
初撃決着モードだったが故に……そこで勝負は決定してしまった。
「「「……」」」
『しょ、勝者……ガトウ選手』
余りといえば余りの、予想外にも程がある決着に、観客達からも歓声がまるで上がらない。
そこで膝を折り手をつき、己の敗北を今一度脳裏に浮かべる、最初の状況と相成った―――――というわけである。
相手方であるガトウは、まだ寝足りないのか欠伸をしており、ステージから降りる瞬間に眠りこけて転げ落ちる始末。
何ともいえぬ空気のまま、ただ一つわかりきった事といえば、ミザールは初戦で敗退してしまったという事実だけだった。
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未だ最後の光景気頭から離れず、釈然としない表情をしながらテントを出たミザールを最初に迎えたのは、やはりというべきかライトであった。
各言う己自身が少し呆けてしまっているのだから、ライトの顔には信じられないと言った情がこれ以上ないほど濃く張り付いている。
「お、おい。本当に負けたのか? ミスしたとかじゃあ無くて?」
「負けた……それもさ、完膚なきまでに、って言った方がいかも」
今しがた戦闘した当事者から言われれば、ライトも納得せざるをえなくなる。
が―――次のセリフで凍りついた。
「思えば、手加減されてたなぁ……あの人に」
「えっ?」
動きが完ぺきに停止する傍ら、頭だけは何とか働かせて、ライトは思考を巡りに巡らせる。
あろうことか血盟騎士団第二副団長相手に手加減までして、完膚なきまでに勝利を収めるなど、並大抵の実力ではない。
いや……大袈裟に、そして攻略組の者たちの常識からいってしまえば、並大抵
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