交節・相対する狩人と魔刃・後
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くぶつけダメージ0で全てをかわし切っている。
引き戻そうとした瞬間に、短剣の刃や柄で別方向へ叩き戻され、すぐに構える事が出来ずバックステップを繰り返す羽目になっている。
かといって斬撃を決めようものなら、短剣で押されて軌道を変えられ、身長差を苦にしない瞬発力で安全地帯へ逃げられる。
劣勢だからと武器を買えたのに、これでは槍装備時と状況が変わらない。
対するガトウも…………一見すると決め手に欠けているように見えるが、直に相対して居るミザールからは、彼の白黒逆転した瞳から滲み出る底知れ無さを感じ、もしかしてまだギアを上げられるのではと懸念していた。
(向こうは殆どダメージ0なのに……私は少しだけど、HPが削れてる。このままだと不味い……っ!)
下手なソードスキルは状況打開策にならない、ならばとミザールは細かな刺突を繰り返す。
ここまでの実力を持つプレイヤーが、なぜ今の今まで代等してこなかったのか、ミザールの脳裏には不可思議だという一つの根強い思案が廻っていた。
血盟騎士団副団長を任されている彼女は、自他共に “トッププレイヤー” の一人であることは認めているのだ。
それを担う一端には、当然の事ながらモンスター型Mob戦や人型Mob戦の強さも感情に入る。
最近のモンスターのAIのアルゴリズムの不安定さに辟易としながらも、しかし戦い抜きまた成長しているという確かな実績と実力を持っているのだ。
……目の前の男は、そうして培ったものを根こそぎ否定している。言葉ではなく、行動で。
それは己のためだけなのだろうか? それとも、他に理由があるのだろうか?
「やああっ!」
「……」
脳裏の暗雲を払うかの如く、レイピアの剣尖が鋭く閃いた。ガトウはその恐るべき速度の一撃に顔色も変えず、一歩下がって軽くスウェーすることで易々回避。
「ふっ! はっ!」
「……」
右二発からの左三発を交えたフェイントで、ガトウの重心を連撃にて組み込んだ方向に動くよう仕向ける。
隙こそ出来るがこれだけでは到底足りず、次に打つ一発がスラストであろうがスラッシュであろうが、また避けられるのは分かり切っている。
なればとミザールがとった行動は―――――
「はああぁぁ……」
向きを変えられポストモーションも少ない、何よりずっと鍛え上げてきた…………古くからの剣技たる、細剣スキル単発突き【リニアー】であった。
此処は敢えて流れをつかむ。僅かな隙であろうとも生かし、一撃をどうにか叩き込む。威力などに構ってはいられない。
予想通りにガトウの体が揺らぎ、切っ先から回避方向を選択し始めている。
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