交節・相対する狩人と魔刃・後
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に蹴撃をくらってしまった。
(この人……槍でどうにかなる相手じゃない! でもっ……!)
ミザールとしては登録してある武器を瞬時に呼び出す “クイックチェンジ” で、彼女のメインウェポンである細剣へと切り替えたい所。
だが距離を取ろうにも、先の蹴りは重い割にミザールの位置を大して変えず、寧ろ蹴る為に体勢を少し起こし地に手をつくガトウが、猛攻撃を始めた所為でシステムウィンドウをいじれない。
少し隙を見せればそこを逃さず、強攻撃を叩き込んでくるだろう。
「スゥ……ハッ!」
「あっ!? うっ……く!」
「シッ!」
ガトウはピクリ、体を傾け一瞬止めてから、完璧に起き上がると同時に回転する。
回転を乗せて繰り出された裏拳は直前で引っ込められ、フェイクだと理解した時にはアッパーカットの様に刃が迫る。
距離を取ろうとすれば肘を使った突進で詰め寄られ、間に合わないと防御させられる。
“初撃決着モード” である以上、大きな攻撃を決めさえすればい良い。
とはいえ下手にソードスキルは使えないと、槍で杖の如く薙いだ……瞬間、鈍い音と共に槍が跳ね上がる。
恐らく膝を打ち込んだのであろうガトウは強く地を踏みしめ、短剣の切っ先をミザールの顔面へ躊躇なく迫らせる。
しかしそれは悪手。
跳ねあがっている槍の柄を利用し、急所へ迫るスラスト気味な斬撃を避けるべく、仮想の慣性に抗って腕を曲げ下ろす。
―――突き気味な斬撃すらフェイントだったと分かったのは、ガトウの手首が勢い良く上を向き、槍に絡みついてからだった。
「う、ごかなっ……!」
身長差もあり余りに容易に “バンザイ” の格好を強制的に取らされ、槍を手放す間もなく腹へと体術スキル正拳突き《閃打》が突き刺さる。
「うぶっ!?」
それでもギリギリ後ろへは飛べたか、HPこそ減っていれど決着はついていない。
同時に距離が開き、槍も手放した為に―――――なんという幸運か。
クイックチェンジを使う、最大の好機が生まれていた。
(これを逃したら負けるっ……! 間に合え!)
ガトウの短剣が腕へと届くのが速いか、ミザールのウィンドウ操作速度が勝るか?
―――高らかな金属音が成り響き、観客達へその結果を知らせる。
そう……間に合ったのだと。
「やあああっ!」
これまで入れてきた気合いを超える、空気を震わせる裂帛の声が響き、次から次へと刺突を実行する。
だがガトウの実力は、ミザールの予想をはるかに超えていた。
剣閃のみしか目視させないスピードにもかかわらず、ガトウは短剣を軽
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