交節・相対する狩人と魔刃・後
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女が血盟騎士団第二副団長という、地位の有る立ち位置に居るからではないのは、誰でもわかる筈だ。
『さあ! いよいよ開始が近づいてきましたっ!』
19……18……17……16と、カウントが段々進むにつれ、漸くガトウは短剣での手遊びを止めるが、やる気無く腕をブラブラ揺すっている。
それは構えていると言うよりも、普通に短剣を手に持っただけと言った方が良く、重心も落とさず棒立ちな所作からも、これから斬り合いをするとは到底思えない。
10……9……8の時点でミザールの表情が消え、今彼女の感覚では、周りの情報を全てシャットアウトしたかのような、閑散とした世界が広がっている。
倒すべき相手であるガトウの姿も、周囲の景色がぼやけた事により、より鮮明に見えている。
5秒前に差しかかり、やがて感じ方の違いからでは無く、本当に静寂が訪れ……………
“Duel Start!!”
試合開始の合図が、高らかに鳴り響いた。
ミザールは槍の穂先を傾け、ガトウは何故か左腕をダルそうに高く掲げる。
「えっ?」
それと同時に、何をするでもなく投げナイフが宙を舞い……ガトウが消えた。
否、ガトウは地を這うような姿勢で、ミザールへと接近している。
消えた様に見えた訳は、180cm中半から後半代の高身長と、投げナイフを放り投げる所作に意識を取られた故に、ミザールの視線が上を向いていたこと。
そして、筋力値や敏捷値パラメータの高さから来るモノだけでなく、プレイヤースキルたる体捌きを活かした、余りにも常軌を逸した “瞬発力” の所為だった。
つまりまずは下へ、次は前へと重心を移動させ、そこから地を蹴りダッシュした動作が、ものの1秒にも満たない時間で行われた事になる。
スキルでは無くただの“体術”だからこそ、単純に驚異的だ。
(速っ……!?)
試合開始前とはいっそ別人としか思えない、そのスピードと勢いに驚愕しながらも、槍の穂先は自然にガトウの方へと向けられている。
流石攻略組と言うべきか。
染みついた動きが、伊達に血盟騎士団副団長をやってはいない事を教えている。
浮かんだ焦りを飲みこみ、ミザールは慌てず二、三度槍を突き込む為腕を動かし―――しかし更なる驚愕に見舞われた。
一発目のフェイントを決めるべく槍を突き出した時、ガトウは行き成り地面に突っ伏し、低めの軌道で放たれた穂先が空を切る……直後、勢いよく半回転したかと思うと、ミザールへ向けて後ろ向きに伏せたまま蹴りを放ってきた。
槍の強みを十全に活かせる間合いより踏み入られてしまった事もあり、直撃こそしなかったものの、それでも左腕
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