■5話 脱出
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物が消滅した瞬間、付近には人通りはなかった。
「美紅ちゃん、私はくるみちゃんをサポートするね。バッジも返してもらわないといけないし」
その言葉を聞いてくるみは少しがっかりした。
本当は健太にエスコートをしてほしかったが、仕方がない。
それにこの恰好で異性と一緒に取材場所に言ったらいらぬ誤解を生むかもしれない。
しかし……
「私、この恰好で今から取材受けるの?」
くるみは自分の格好を改めて見直して、顔を赤くした。
「美、美紅ちゃん……」
学ラン姿の美紅に起こされた健太は、声を詰まらせた。
美紅は顔を赤くしながらうつむいた。
「はっくしゅん!」
さすがに冬にシャツ1枚では体も冷える。
「広野君、大丈夫?」
心配はするのだがこの学生服を返すわけにはいかない。
「ごめんね、広野君……」
健太もガ―ディングポイント姿も確認していて、美紅の事情は承知していた。
「平気平気。でも、ちょっと寒いし早く帰ろうか……」
美紅は健太にエスコートされ、家に帰った。
「くるみちゃん、なんでそんな恰好してるんだ?」
桃子と一緒に仲額中学の校門で時計を見ていた貧乏ゆすりをしていたマネージャーがくるみを出迎えた。
一度は学校近くまで一緒に来たのだ。その恰好とあからさまに違っている。
「いやあ、いろいろありまして……」
少し顔を赤らめながら言い訳をしようとした。
が、のんびりしている時間はなかった。
「この際、仕方ない。相手を待たしているんだ」
質問をしたくせに聞くつもりはないようだ。
そう言うとマネージャーはくるみの手を引いて走り出した。
「もう、りろちゃんをだいぶ待たせているんだ。学校の使える時間もあるし……」
桃子もその後を追いかけていった。
待っていたりろもくるみのその姿に驚きを隠せなかった。
「くるみお姉さま、どうしてそんな恰好をされているんですか?」
当然、それが桃子のコスチュームであることは一目見てわかった。
いろいろあったことは想像に難くなかった。
くるみは返事ができなかった。
「まあ、いろいろあってね……」
そう言うと、りろも事情を察したかのようにほほ笑んだ。
そして、対談は滞りなく始まった。
でも、何もなかったかのように対談を行い、1か月後には桃子のコスチュームを着たくるみが雑誌のグラビアを飾ることとなる。
ヴィムは研究室に戻ると、早速、くるみと美紅のデータの解析を始めた。
「アイドルって生き物は、別に特別な機能を有している人間ってわけじゃなさそうね」
生物的にも服装にしても特別なシステムはなかった。
ただ同時に回収した美紅のデータが気になった。
「あいつはウイングマンの仲間だったな。あのバッジのデータは興味深いな……バルドの言っていた夢の力、というの
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