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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜銃声と硝煙の輪舞〜
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六王にいた頃から、六王にいたよね?」

「あぁ、創設にも関わっておるからの」

「え、じゃあシゲさんって《原初の六人》の一人なの?」

まぁの、としれっとした顔でそう言う老人に、少年は改めて真剣な表情を作った。

「さっき言った予選決勝で、確かにシゲさんの言う通り僕は惨敗した。……だけど、待機ドームに戻った時に、一緒にクエストをやった人達が言ったんだよ。『良い試合だった』って」

その言葉に、一瞬だがシゲさんは眉をひそめた。だが、波が引いていくかのように、水が浸透していくかのように、顔が強張る。

驚愕、なんて表現では生ぬるい。

老木の年輪を思わせる彫りの深いシワが刻まれた顔に浮かんでいるのは、紛れもない恐怖。そして微かな、畏怖にも似たものだった。

「……なん、じゃと?」

「教えてほしいんだ。空間的には隔離されている待機ドームにいるプレイヤー達にも影響を及ぼす心意を、あいつが習得してるのかどうか」

「…………まず断っておくんじゃが、あやつのギルド【尾を噛む蛇(ウロボロス)】は儂のギルドに負けず劣らず秘密主義じゃった。さらに頭首のフェイバルに関しては、当時六王だった誰も親交がない」

「だから何にも分からない、と?」

鋭い少年の指摘に、シゲさんは重々しく唸った後首肯した。

「基本的に秘匿になっていた心意による戦闘は、そもそも絶対数が少ない。儂はあやつが心意技を使ったところは一回しか見ていないが、それにしたって少し硬い防御技でしかなかった。君の言うような桁外れに強い精神感応系の心意技を心得ているようには思えなかったがのぉ」

「……そっか」

心意には攻撃威力拡張、装甲強度拡張、移動能力拡張、射程距離拡張があるが、それを全て使えるのは不可能に近いと言われている。普通は二つ、多くても三つが通例である。それに照らし合わせれば、少なくともフェイバルが習得しているのは装甲強度拡張ということになる。

精神感応系統はこの基本四種を組み合わせた第二段階技である。もともと複数取得するのが難しい四種なのだが、それを組み合わせるとなると難度は段違いだ。それゆえに、精神感応はほとんど会得している者がいない。

―――例えば、そう。僕の中に巣くってる《狂楽》みたいな、それだけのために生まれたヤツぐらいじゃないと。

グッと胸の前で拳を作る少年に、老人は少し思案するような眼を向ける。

「それに……儂の立場から言わせてもらうと、君はある可能性を自ら排除していると思うぞ」

「可能性?」

「君の他のプレイヤーがおかしくなったのではない。蓮君、君自身がヤツの術中にいるのではないか?」

虚を突かれた、というのが素直な気持ちだった。

確かに、それならフェイバル自身の負担はかなり軽くな
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