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加虐滅魔のメリアルデ ~The-murderer Merry~
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霊核
(
苺
)
がカットされて入っているではないか。
──あぁ、甘そう……。
あの血を啜ったら、どんな味がするのかしら。きっと、吸血種である『彼女』ならそう言うだろう。
でも私は違った。化け物、なんて呼ばれることも良く在るけれど、私はれっきとしたただの人間。
赤い髪と金色の目、他の人より『ちょっと』強靭に動く肉体を包む黒い着物とプロテクター。そして手に持ったサバイバルナイフを除けば、いたって普通の、どこにでもいる女の子。
お洒落に気を使い、美味しいものを欲し、そして恋に悩む──そんな普通の女の子。
そう、恋。恋愛。like。love。ああ、なんて甘美な響き。きっと濃厚なチョコレートよりもずっと甘い。
今だって、そう。私は大好きな『彼』の為にここにいる。
私の『彼』はすっごく弱くて脆いから、ちょっと強い私が守ってあげなくちゃ。私はこの事に関してほど、自分の力を喜んだことはない。
私の『彼』は、今目の前で悶え苦しむ霊体みたいな《人外》にすぐ気に入られちゃうから、誰にも渡さないように守ってあげなくちゃ。私はこの事に関してほど、自分の環境に感謝したことはない。
私は普通の人より、『ちょっと』強い。
私の知り合いは普通の人達より、『ちょっと』ズレた場所にいる。
例えばほら、見えないものが見えるとか。ナイフで石が切れるとか。車に跳ねられても無傷とか。
例えばほら、幻獣使いの女性とか。悪魔と契約した
伏魔師
(
エクソシスト
)
とか。吸血鬼のお姫様とか。
でもこのくらい、もっと凄い人から比べたら、なーんてことない常識だと思う。だって私はそれ以外、何の変鉄もない女の子だもの。
ああ、最後の霊核を砕かれて、目の前の霊体が消えていくわ。しゅわしゅわしゅわしゅわ、ラムネみたい。泡になって消えていく。まるで大気という海に溶けて消える、人魚姫の様。
でもね、そんなきれいな役割は、あの子達には相応しくないわ。だって『彼』を狙う、悪い悪い化け物だもの。
ナイフの血糊が消えたなら、今日の仕事は一旦終わり。後は『彼』がお家に帰って、私もお家に帰るだけ。
いつか一緒の家に住んで、一日中ずーっと守っていてあげたいけれど、残念だけど今は無理。
だからせめて、家中の至るところに施したカウンターで、『彼』の事を守ってあげるの。風水術にのっとって、あらゆる鬼門に伏魔の護符。それだけじゃなくて、霊的存在が悪意をもって接したら、すぐにそれを殺す術。
もちろん、悪意をもって『彼』に近づいているかなんて、単純な術じゃ分からないわ。だからそれは、
私
(
・
)
が
(
・
)
判
(
・
)
別
(
・
)
す
(
・
)
る
(
・
)
の
(
・
)
。
あ、『彼』が見えた。黒い髪に、シンプルな服。ああ素敵、とっ
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