暁 〜小説投稿サイト〜
逆さの砂時計
忘却のレチタティーボ 5
[5/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
私を導く為。
 私が仕事に誇りを持てるように。
 私自身がやり遂げることで、自信を得られるように。
 甘やかしたり突き離したりせず、ただじっと見守ってくれていた。

 ずっと……、私を見守っててくれたんだ。



 ……でもこれ……甘やかしてるのと変わりないでしょ、室長さまー……

 …………んー?
 なんだろ……声が出る……
 目も開けそう……、って……

 うわぁああ〜……きれえー……
 薄い緑色の光の粒が、辺り一帯で雪みたいにふわふわ降ってるー……

 ところで、今の夢に出て来たらしい、白金色の髪の、絶世の美女さん……
 貴女、創造神アリア様の肖像にそっくりですねー……
 大人に戻ってるしー……

「そんなに良いものではないわ」

 いやいや……ふわって笑ってると、魅力数値が跳ね上がりますよー……
 貴女みたいな、綺麗な人間になりたかったなあ……

「私には、あなたこそが、うらやましい」

 へ……?
 どうして……?

「私には二度と触れられないものを、あなたは持っているから」

 ……何を見てるの……?
 あ……クロスツェルさんと、黒い人……?
 さっきの足音、あの二人だったんだ……

 並んでるところを見ると、あの二人も知り合いなんだねえ……
 世界は狭いや……

「そうね。世界は、こんなにも狭いのに……どうして私達は争うばかりで、ただ手を取り合うことさえ、できないのかしらね」

 手を、取りたいの……?
 世界の……?
 あの二人の……?

「さあ……どうかしら? もう、私にもはっきりとは答えられないわ」

 ……ああ……そんな寂しそうに笑ってたら、さすがにわかりますって……
 情報だけは、耳年増なんですから、私……

「ふふ。なら、私の想いは、あなたが知っていて。私にはもう、答えを探す余裕がないから」

 良いですけど、いずれは向き合うことになると思いますよー……
 ほら、石みたいに固まってるあの二人、貴女しか見てないもの……

「……諦めが悪いのは、私なのかしら? あの二人なのかしら?」

 両方、じゃないですかね……
 よくわからないけど……

「そうね。きっと、そうなのでしょうね。……ありがとう、ステラ。友達を大切にしてね。あなたの為に泣いてくれる存在を、忘れてはダメよ」

 忘れない。
 絶対、忘れないよ。

「さあ、本当の目を開いて。残る生命は少ないけれど……他の誰でもない、あなた自身の時間を生きて。誰にも惑わされず、あなただけの道を探して。あなたの願いは、あなたにしか叶えられないのだから。迷った時は……」

 うん。解ってる。
 私はもう大丈夫。
 全部教えてくれた友達がいるから、大丈夫です
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ