30.金で買えるか買えないか
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だ不満を持っている分子の仕業でしょう。彼の者たちはその象徴としてか、新たな『巫女』を求めております。貴方はご存じの事と思いますが――土の巫女は既に死亡しており後継も育っていません。故に彼らは他のクリスタルに仕える3人の巫女に目をつけている……」
「つまり、私が風の巫女を正都に連れてゆけば、その連中の都合がよいという訳か」
「あまり認めたくないことですが、今の正都は清純な巫女が足を踏み入れるには少々汚れすぎております……ゆえに、この依頼も正教の正規のものではなくわたくしの独断です」
ナジットもその男も、故あってクリスタル正教の負の部分を嫌というほど垣間見ている。
だがナジットは傭兵だ。主義も主張も関係なく、あるのは金だけだ。
感情や古巣のことは無視し、端的に聞きたいことを聞いた。
「………追加の依頼は何だ。そして、いくら出す」
「水の巫女は行方不明で目下捜索中。火の巫女は戦を望まぬ神々とエイゼンベルグ軍に守られております。故に現在最優先で守護すべきは――風の巫女。貴方への追加依頼は、正教の不穏因子をエタルニアの協力で暴き出すまでの間、風の巫女を守ることでございます。依頼料は……私のポケットマネーから全財産を出しましょう」
「具体的には?」
「………5億ヴァリス、前払いです」
「!!」
言うまでもなく大金だ。オラリオのような特別な街でない限り、それだけあれば1,2人は一生遊んで暮らせる金額に当たる。驚きを隠せなかったナジットに、男は微笑みかける。
「ふふ……『こんな役職』にいると使いもしない給金が溜まりましてな……如何ですか?」
「……報酬分の働きはしよう」
「くれぐれも頼みましたよ?……大事な事なのでもう一度申し上げます。貴方への追加依頼は、正教の腐敗が暴かれるまでの間、風の巫女を守ることでございます。くれぐれも内密に――お願いします」
物語の主役たちが与り知らぬ場所で――事態は静かに進行していた。
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