暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
現実世界
第148話 彼女の刃
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う言っていた。




 そして、落ち着かせる事数秒後。

「……大丈夫か? 大丈夫なら……、アスナが待ってる。行ってやれ」

 隼人は、ちゃんと自分の足で立っている和人を見てそう言う。まだ腕は血が滲んでいる様だが、隼人から渡されたティッシュとハンカチで何とか圧迫し、ほぼ止血する事は出来た様だ。掠めた頬も同様だ。

「隼人は……? お前も一緒に、だろ」

 玲奈が待っているから、と和人はそう言った。隼人はそれを聞いて軽く笑う。

「勿論だ……が。会いたい想いはキリトにも負けてないつもりだよ。だけど、こいつをこのままにしておく訳にはいかない、だろ? 大丈夫。傍には信頼出来る人もいる。事情を話して警察を呼んでもらうよ。……後から玲奈には必ず会いに行く。勿論、明日奈にもな」

 隼人はそう言って笑った。確かに、須郷は気絶しているのか、呆然としているのか、動く気配がない。だが、このまま放置し、また暴走でもされたら、危険なのには変わらないだろう。
 明日奈や玲奈の事を考えたら尚更だ。

「判った。……待ってるからな」
「ああ」

 隼人は、和人と軽く拳を合わせ、そしてしっかりとした足取りで、病院内へと入っていった。傷口は、浅く出血量も思った程はひどくはない。須郷の焦点が合ってなかった為だろう。確かに、隼人も玲奈に合わせてあげたいと言う気持ちが強くあったが、隼人の言葉と須郷の事、そして何より明日奈に会いたいと言う気持ちの方が強く出た為、和人は1人で向かっていった。


――……隼人は感謝していた。


 和人は、優しいんだ。
 優しいからこそ、自分を気にかけ、そして救ってくれた。恩人の1人。だが、そんな恩人である和人にも、隼人には譲れない物はあった。


 ここから先は……譲れなかった。




「ひ、ひひ……」



 そんな時だ。背後で、うめき声の様なものを出しながら、影がゆらりと動いた。

「か、感謝、か? ぼ、ぼくもそおさ。かんしゃ、してるよ。キミには」

 死への恐怖からか、その髪は所々が白く染まっていた。それは、雪が降り積もったからそう見えた、訳ではないだろう。まだ、涙を流し、鼻水や涎といった体液も流れ出ている。

「ゆだん、してたとはいえ、君が、じゃましなけりゃ、ぼくをたおせた、かもしれないのに。随分とおバカなんだなぁ?」

 小悪党と言うのは、どんなに傷を負っても相手が弱みを見せれば、それだけで、元気になるものだ。須郷は、発音こそ最初のそれよりもおかしいが、この状況を見て、形勢逆転したと思い、立ち上がった。その手には、先ほど和人が落としたナイフが握られている。

「お前、がリュウキくんか? さやまには悪いが 君も死ぬべきおとこだ」

 のそり、のそ
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