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ソードアート・オンライン〜Another story〜
現実世界
第148話 彼女の刃
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ようにあるんだ。……今までの実験で得られた、蓄積された膨大なデータ。今の時代では決して得られない様なデータがあるんだ。あれを使って研究を完成させれば、僕は本当の王に――神に――この現実世界の神になれる!」
その野望を耳にした和人は、自分自身の耳を疑ってしまっていた。その思考回路は狂気としか言えない。狂っている、という言葉しか浮かんでこない。いや、おそらくこの男は遥か昔から壊れているのだろう。
「その前に、幾つか片付ける事はあるけどね。……とりあえず君は殺すよ。キリト君」
表情をまるで変えず、ボソボソと喋り終えると、無造作に右手に持ったサバイバルナイフを腹部めがけて突き出した。
「っ!!」
和人は、どうにか避けようとするが、身体が重い。それは薄く降り積もっている雪のせいでもあるだろう。だが、あの世界の自分では考えられない程身体が重いのだ。自由自在に操れたあの身体とは程遠く、思わず和人は雪の影響もあり、足を滑らせて転倒してしまう。
それを見た須郷は、焦点を失った瞳孔で和人を見下ろした。
「おい。立てよ」
二度、三度、続けて腹部へと蹴りを見舞う須郷。腹部に走る鈍い痛みもそうだが、腕を斬られたあの熱感も拭えない。
降り注ぐ殺意を目の当たりにした和人。
あの世界では、何を向けられても立ち向かえるだけの力があり、抗える術もあった筈だった。だが、向けられた殺意は、この世界ではまるで別モノだった。殺傷の為に作られたあのギラリと光るナイフも、和人に現実をつきつけられる。
――あのナイフで……、オレを……殺す?
断片的な思考が流れる。この世界では、HP等という数字は存在しない。何処を切られても、全損しなければ大丈夫等というゲームではない。一箇所でも深く肉を抉るように斬られれば、一箇所でも太い血管を斬られれば。文字通り命を奪うに足る損傷を受ける。
回復アイテムも無ければ治癒魔法も無い世界で、たった一撃でも、致命傷になってしまう。
和人は何度も何度も想像してしまっていた。自分の腕から流れ出る赤い血。それがアスファルトに薄く積もった雪を赤く染める。……リアルな死をイメージしてしまったのだ。
「ほら、どうした。立てよ。立ってみせろよ!」
須郷は、何度も何度もただ只管に和人を蹴り続けた。一撃一撃の度に場所が変わるのは、この男の目は正確に和人を捉えていないからだろう。
「お前、あっち側で僕に何か言ってたよな? 逃げるな? 臆するな? 決着をつける? 随分と偉そうに言ってたよな!?」
その声には元々狂気染みた代物が含まれていたが、その狂気が一段階増していった。
「判ってんのか? お前みたいなゲームし可能のない小僧は本当の力は何も持っちゃいないんだよ! 全て
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