暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
ALO編
第147話 世界の種子
[11/11]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
く苦にならない。身体に翅が、あの世界の様に翅が生えたかの様に、身体が軽い。

 もう少しで、ここは銀世界になるだろう。

 隼人の代名詞とも言える色の世界。

――……でも、その背景でその世界になれば、舞台の主役とヒロインはあの2人に持って行かれてしまうだろうな。

 和人は思わず苦笑いをしながら、そう思った。でも、2人の想いにも負けない位明日奈の事を思ってるんだ。

「アスナ……」
 
 鎖を解き、解放した彼女を想いながら、自転車のペダルを踏み込んで進んでいく。恐ろしいまでに冷たい冷気。その冷気を感じ、ふと嫌な予感も感じた。

――もしも、明日奈が、玲奈が目を覚ましていなかったら。

 ALOにも彼女の魂は既になく、しかし現実にも帰還していない。………どことも知れぬ場所へ消え去ってしまったら。

 少し、考えたくない予感が頭から足の爪先にまで、悪寒として迸った。そう、思ってしまうと、この銀の世界も曇って見えてしまう。冷気が、冷酷に感じてしまう。

(そんなの、有り得ない。この現実が、そんな悪意の権化……そこまで冷酷でなんて、あるはずがない)

 その悪寒を振り払う様に、和人はペダルを踏み込み続けた。


 ……この先には、確かに彼女が確かに待っている。
 だが、超えなければならない試練がある事を、この時の和人は知るよしもなかった。


[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ