第2部
第5話 野分の提督観察日記
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ので、提督室で野分が食事を用意する事にした。
得意料理のビフテキをお出ししたら、司令は大層喜んで下さった。
その夜、不覚にも執務中にうたた寝をしてしまった。
気付いた時には司令のベッドの上で、暗い部屋の中、司令が1人で書類とにらめっこをしていた。
「1人で大丈夫、野分は休め」
との司令の命令でそのまま休む事になってしまったが、鼻腔を擽るベッド一杯の司令の匂いに、高鳴る鼓動が鳴り止まなかった。
???
「……えっと……」
「……」
何やら日記の内容がおかしくなってきた。
正確には14日辺りから。
なおも、日記は続く。
???
9月17日
晴れ
艦隊戦の訓練中に足首を挫いてしまった。
砲雷撃戦に移行する際、舵取りを誤り、曙と接触してしまったのだ。
最初はなんともなかったが、訓練が終わる頃になると真っ赤に腫れ上がってしまった。
司令は訓練中、何も仰らなかったが、訓練が終わると真っ先に飛んで来て心配してくれた。
野分はなんともないと執務に戻ろうとしたが、「捻挫を甘く見るな」と司令のお叱りを受け、俗に言うお姫様抱っことやらでドックまで連行されてしまった。
ドックの総監督をしている工作艦明石さんの話では、捻挫が悪化してしまっているが、骨や靱帯に影響は無いとの事。
司令に抱きかかえられた時、怪我をして心底良かったと思ったのは言うまでも無い。
???
9月19日
曇り
今日は鹿島鎮守府の艦隊と合同の協働任務があった。
と言っても、野分は司令のサポートが主だった為、積極的に動く事はなかったが。
司令と鹿島鎮守府の艦隊に所属する艦娘の皆さんはとても中が良い。
戦艦金剛さん、扶桑や軽巡の球磨さんや多摩さん、空母加賀さんが筆頭だ。
特に上記の方々はボディタッチが多くて困る。
危うく魚雷を至近距離から叩き込みそうになる。
司令も困っているのに。
野分の司令なのに。
なんでそんなに笑っているんですか。
なんで野分だけに笑ってくれないのですか。
???
9月21日
雨
正直に言います。
私は司令が好きです。
ええ、likeではなくLoveです。
この世の誰よりも愛しています。
司令の好きな物も、好きな色も、好きな味も、好きな時間も、知っています。
癖や仕草も知っています。
何を食べたかも、何を考えているかもお見通しです。
なのに、なんで野分を見てくれないのですか?
いえ、語弊がありました。
なんで野分だけを見てくれないのですか?
司令は最近、曙ばかり気に掛けていますね?
独りで居るのは良くない、それは理解できます。
艦隊行動に支障が出る事も、解ります。
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