精神の奥底
47 ブリキの心臓
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彩斗とメリーは脱衣所から出るとリビングへ向かう。
2日分の垢を洗い流すのに時間を掛け、若干のぼせ気味だ。
「...喉乾いたろ?冷蔵庫にさっき買ってきた飲み物が入ってる。コーラもあるしジンジャーエールも、あとリポビタンとオロナミンも」
「じゃあジンジャーエール...すみません、長風呂になってしまって」
「いや、僕も髪を洗うのに時間を掛け過ぎた。自分でも知らないうちにかなり伸びていたんだ」
「昔から伸びるのは早かったじゃないですか。今も襟足はもうすぐ背中に届きそうなくらい...でもすごく綺麗でサラサラな髪質ですよね、羨ましいです」
メリーは彩斗の髪を撫でた。
彩斗は比較的、その容姿の通り女性らしい特徴を備えていた。
実際のところ、女性から見ても羨む要素は多く、それが男性だけでなく女性に妬まれる原因でもあった。
普段は限りなく真っ黒だが、所々も青みを帯びた箇所がある他、光が当たると僅かに茶色がかった色に見える不思議な色合いで、日頃から手入れは大してしていなくてもサラサラでまとまりがある。
彩斗は恥ずかしそうな顔をしながら、リビングに入ると冷蔵庫からオロナミンとジンジャーエールを取り出してテーブルの方へ向かった。
「お先に頂きました」
「アイリスちゃん、僕らはこれを飲み終わったら休む。君はお風呂に入るなり、好きにしてくれていいよ」
「ええ。ありがとう」
アイリスはリビングで本を読んでいた。
彩斗とメリーが無事に戻ってきてから、今に至るまでの争いも何も無い時間が、ネットナビであるアイリスが人間としての生活を送れていた時間だった。
久々の休息と楽しみを味わったアイリスは何処か清々しい顔で立ち上がる。
「じゃあ、お風呂に...このコピーロイド、ハートレスから借りたものだし、一応、洗って綺麗にしておきたい」
「それがいいね。彼女から借りたものは無傷で返さないと、いつもならメタクソに怒られる。さっき壊したパソコンのこともジョーカープログラムのことが無ければ、今頃顔のアザが増えてたかも」
「...一応、100メートル防水らしいけど気をつけるわ」
「そういえば当の本人は?ガレージ?」
「...多分、サイトくんが手に入れてきた敵のストレージや端末に他に何か隠されてないか、解析してるんだと思う」
アイリスは嘘をついた。
本当はハートレスは先程、彩斗の血液の分析をしているのだ。
血液を採取されたことを知らない上、自分がスターダストを使っていくことでどんどん人間とは違ったものになっているのではないかという恐れを持った彩斗には言うべきではないと思ったからこそついた嘘だった。
「そうか。でもストレージの持ち主のクラッカーは利用されていただけ、端末の持ち主のSWAT隊員もWAXAへの敵対心を手球に取られただけの下
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