第5部 トリスタニアの休日
第6話 きつね狩り
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気した頬で、アンリエッタはじっとウルキオラを見つめ続ける。
「……アンリエッタ」
アンリエッタは苦しそうな声で言った。
「アンとお呼びください」
「何故?」
と言ったら、再び唇が押し付けられる。
今度は、優しく……、情がこもった口づけであった。
ランプの明かりの中……、アンリエッタのはだけた白い肩が目に飛び込んでくる。
ウルキオラは激しく混乱していたが、アンリエッタの唇に身を任せることにした。
「恋人は……、いらっしゃるの?」
熱い声で、アンリエッタはが耳元で囁く。
とろけてしまいそうな、そんな響きであった。
「いるわけがないだろう」
ウルキオラは冷静にアンリエッタの問いに答える。
アンリエッタはウルキオラの耳たぶをかんだ。
「ならば、恋人のように扱ってくださいまし」
「なんだと?」
「今宵だけでよいのです。恋人になれと申しているわけではありません。ただ、抱きしめて……、口づけをくださいまし……」
ウルキオラはアンリエッタの言葉が理解できなかった。
なので、なぜこのような発言をしているのか疑問に思った。
一つの答えにたどり着く。
アンリエッタは、寂しいだけなのではないだろうか。
ならば、慰めてやる方法など他にいくらでもある。
散々ルイズで学んだことだ。
そうして、ウルキオラはアンリエッタの淡い栗色の髪を撫でた。
「悪いが、俺はウェールズではない」
「誰もそのようなことは、申しておりませんわ」
「知っているはずだ。俺は人間でもなければ、この世界のモノでもない。そんな俺が誰かの代わりになることなど不可能だ」
アンリエッタは目を瞑ると、ウルキオラの胸に頬を寄せた。
そうしていると……、徐々に熱が引いていったらしく……、アンリエッタは恥ずかしそうに呟いた。
「……はしたない女だと、お思いにならないでね。女王などと呼ばれても……、女でございます。誰かのぬくもりが恋しい夜もありますわ」
しばらく……、アンリエッタはそうやって頬をウルキオラの胸に押し付けた。
アンリエッタのそんな姿を見て、ルイズの顔が思い浮かぶ。
同じように見えたことにウルキオラは苦笑する。
そして……、気になった。
「アンリエッタ」
「何でしょう」
「そろそろ任務の詳細を教えろ。お前を守り、アニエスとかいうやつを援護する…だけでは情報が不十分だ」
「……そうね。きちんとお話ししなければなりませんね」
「キツネ狩りをしようと考えていますの」
「キツネ狩り?」
「ええ、キツネは利口な動物というのはご存じ?犬をけしかけても、勢子が追い立てても、容易には尻尾をつかませません
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