第5部 トリスタニアの休日
第6話 きつね狩り
[1/9]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
ルイズは振ってきた雨音で目が覚めた。
辺りを見渡すが、ウルキオラがいない。
「もう、あいつどこいったのよ」
ルイズは唇を尖らせた。
どうやら、私が寝ている間にどこかへ行ってしまったようだ。
それから部屋を出て、宿屋を一周したが見当たらない。
なんだか妙な胸騒ぎがしたルイズは、宿屋から飛び出した。
すると、ルイズの髪の毛に水が落ちた。
「本降りのようね」
雨音にまじって、衛兵たちの怒号が聞こえた。
剣を下げた一人の兵士に近寄り、呼び止めた。
「ねえ、何があったの?」
兵士はキャミソール姿のルイズ一瞥をくれ、うるさそうに言い放つ。
「ええい!うるさい!子供には関係ない!家に帰っておれ!」
「お待ちなさい」
ルイズはなおも呼び止め、懐からアンリエッタのお墨付きを取り出した。
「わたしはこのようななりをしていますが、陛下の女官です」
目を丸くして、兵士はルイズのお墨付きを交互に見つめた後、直立した。
「し、し、失礼いたしましたぁ!」
「いいから話してちょうだい」
兵士は小さな声で、ルイズに説明した。
「……ジャン・ド・マルス練兵場の視察を終え、王宮にお帰りになる際、陛下がお消えになられたのです」
「まさか、またレコン・キスタが?」
「犯人の目星はついておりません。しかし、どのような手を使ったものか……。馬車の中から、まるで霞のように忽然と……」
「その時警護を務めていたのは?」
「新設の銃士隊でございます」
「わかったわ。ありがとう。馬はないの?」
兵士は首を振った。
「しかたないわね!」
ルイズは雨の中、王宮を目指して走り出した。
こんな時にウルキオラがいてくれたら……と舌打ちをする。
まったく、肝心な時に居ないんだから!
騎乗したアニエスは、とある大きな屋敷の前で馬を止めた。
そこは昼間……、女王アンリエッタと会談していたリッシュモンの屋敷であった。
そうそうたる殿様方の屋敷が並ぶ高級住宅街の一角、二階建ての広く巨大な屋敷を見つめ、アニエスは唇を歪ませた。
彼女はリッシュモンが二十年ほど前、どのような方法でこんな屋敷を建てたのかを知っていた。
アニエスは門をたたき、大声で来訪を告げる。
門についた窓があき、カンテラを持った小姓が顔を出した。
「どなたでしょう?」
「女王陛下の銃士隊、アニエスが参ったとお伝えください」
「こんな時間ですよ?」
怪訝な声で小姓が言う。
なるほど深夜の零時をまわろうかという時間だ。
「急報です。ぜひともお取次ぎ願いたい」
小姓は首を捻りながら奥へと消え、しばらくす
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ