第四十二話 決勝戦その十六
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「これでいいな」
「わかりました、それじゃあ」
「そういうことでだ」
大掃除をするという話になろうとした、だが。
ここでだ、ラブポーンさんが井上さんに言った。
「別にいいんじゃない?」
「大掃除をしなくてもか」
「だってここ奇麗だから」
八条荘はというのだ。
「そんな思いきりでしてもよくないよ」
「思いつきだと、しかしだ」
「前から考えてたっていうの?」
「私としてはそうだが」
「けれど皆に言ったのは今でしょ」
「そうだが」
「皆スケジュールは空いてるっていっても急だよ」
だからとだ、ラブポーンさんは井上さんに言うのだった。
「そんなこと言ってもね」
「悪いか」
「ちゃんと事前に皆のこと考えないと」
「言われてみればそうだな」
井上さんもラブポーンさんに言われて気付いた感じになった。
「思いつきであれをしよう、これをしようというのはだ」
「あんた一人ですることじゃないわよ」
「皆ですることだからな」
「それで今日言って明日は駄目でしょ」
「そうだな、思いつきで言うこともな」
「体育会でしょ、日本の」
「その悪い部分だ」
顧問の先生や先輩が思いつきで言って生徒や後輩を振り回す、自分がやらないから言える本当に日本の体育会系の悪いところだ。
「悪い部分をしてはならないな」
「そうでしょ」
「それもそうだ」
「そこ考えてよね」
「ではこのことは私の方で考えさせて頂きます」
畑中さんがこう皆に言って来た。
「後日あらためてです」
「ここの大掃除ですか」
「いえ、ここよりも他の場所がいいかと」
「と、いいますと」
「町の公園はどうでしょうか」
畑中さんが提案した場所はここだった。
「八条公園は」
「あそこですか」
「実は今度あの公園のお掃除がありまして」
「そういえば学園でも言っていましたね」
そして掃除の参加者を募っていた、自衛官募集の様に。
「それじゃあ」
「それに参加しましょう」
「じゃあそこはお任せします」
畑中さんにとだ、僕は言った。
「是非」
「そういうことで」
「さて、じゃあ今日は飲むということで」
僕は最後にこう言ってだった、そのうえで。
自分でも泡盛を飲んで皆にも勧めた、日菜子さんが美味しいという泡盛は確かに美味かった。アルコール度は強いけれど幾らでも飲める感じだった。
第四十二話 完
2015・5・4
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