3-1話
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どれもラベルが違うが、一貫して500mlサイズである。
決して大きくないショルダーバッグから手品のように次々と出てきて、結局は整理のためにあるだけの数を並べた。
空なのは8本…それ以外は別なものを詰めてある。
中身が詰まっているのはショルダーバッグに仕舞い、空の方のペットボトルに水を詰める手作業に入る。
周囲を警戒しつつも、4000ml分一杯になるまで水を詰めていく。
4000ml…四日分の水分量だ。
補給の仕方にもコツがあり、無駄にならないやり方で飲めば、アタシの体力なら基本的な一日分の補給量で抑えられる。
食事は別にして、一日1000mlくらいの水分を補給しても四日は何とかなる単純計算だ。
何事もなければ四日は持つ、あくまでも単純計算に基づけば、だが。
だが実際はどんなファクターがあるか、アタシでもわからない。
天気の変貌、些細なミス、個人的な理由…などなどあるけど、何より食料の事だってあるし“獣達”の問題もある。
ここには見慣れない実ばかりが実っている。
アタシの知識と照らし合わせても、あまり参考にならないほどの多種多様…海外というより生態系が違うレベルだ。
ユニークな見た目が表に出ている実もあれば…果物に似たような見た目とは裏腹に有害なものが混じっているものもある。
土地は違えど、湿地なら湿地、平原なら平原と、似通った部分で生えるものがあるのだが…ここはまるで品種改良植物の博覧会のようだ。
とてもじゃないが…危なくて手を付けるわけにもいかない。
薬学のように、多大な犠牲と知識の積み重ねがあれば別だろうけど…アタシ自身が先駆者なんて御免だ。
こんな新種だらけの所でそんなものは期待はできない……原住民とかいれば別だろうけど。
…まぁ、食い物のアテがない事もない。
それは…なるべく距離を置きたい選択肢だし、今はまだ様子見とするべきだろう。
ダメならダメで捕食する選択肢もありだ。 草食動物がいれば、の話だけど。
「さてと…水も詰め終わったし…あっちはもう見て終わったら今度は―――」
8本全てに水を組み終わり、ショルダーバッグに仕舞ったその時だった。
「――――――!!」
沢の下流から逆流して人の声が飛んできた。
「…悲鳴?」
森の外へと伸びる沢の先から聞こえたのは確かに人のそれだった。
数時間を費やして聞く事はなかった人の声が悲鳴とは何事かと思った。
しかし、何が起こっているのかは“この地”でなら想像は難くない。
ショルダーバッグを肩に担ぐ。
腰をやや低く落として、地面が爆ぜ散るようなスタートダッシュをかける。
ほぼトップスピードで
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