第二十五話
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ヘラヘラ笑っている。その影響か仲間の連中も緊張感欠如といった感じで傍観しているようだ。。
「漆多、何をそんなに怒ってるんだい。僕はただ【聞いた話】を言ってただけだよ。……日向さんは廃校舎の三階で全裸で死んでいたんだって。そして如月君もおなじく全裸で発見されたらしいよ。それだけでわかるじゃない。そもそも廃校舎がウチの生徒達にどういう利用をされていたかを君も知らない訳じゃないだろう? だったら僕の聞いた事実から想像できるのは一つしかない。あいつらはやってたって。ふふん。いやらしいよね。まあそんな最中に火事に巻き込まれたらたまんないだろうけど。……まあ如月君は満足か? 日向さんは美人だったからね。俺もお世話になりたかったくらいだよ。ヒヒ」
その刹那、漆多の右拳が蛭町の顔面にめり込んでいた。そしてそのままもみ合いとなる。奇声を上げながら一方的に漆多が殴る。
蛭町は必死に防御を取っているように見える。仲間の連中もこの期に及んでもどういうわけか傍観しているだけだ。みんな口元に冷笑を浮かべているだけだ。それはなにか不気味に思えた。こいつら何を考えている。
こいつら結構喧嘩早い連中ばっかりだったはずなのにどうしたんだ?
奥から怒鳴り声が聞こえ、数人の教員が走ってきた。
「お前らなにやってんだ! 」
馬乗りになっている漆多を取り押さえ、二人を強引に引きはがす。
別の教員に介抱されている蛭町は教員の問いかけに頷いている。両方の鼻の穴からは血が流れ落ち、唇も切っているようだ。それでもその顔は何故か不敵な笑みをたたえている。
俺はどういう訳か寒気がした。
「とにかく、漆多と蛭町、職員室へ来い!! 」
教員達に促され、彼らと取り巻き連中は職員室へと歩いていったんだ。
結局、俺は漆多を助けることも加勢することも何もできずに見ているだけだった。
しばらくして、教室に漆多が帰ってきた。
異常なほど憔悴した漆多がそこにいたんだ。
思い詰めたような表情でどこか心ここにあらずといった感じで、フラフラ歩いている。
喧嘩をしたことでこっぴどく叱られたのかもしれない。
そして彼はぐったりとした歩調で歩き、崩れるような感じで席に着いた。
俺はあいつに何かを話そうとして近づく。
様子を見た紫音も心配そうな表情を浮かべながら来た。
「大丈夫、漆多君……」
何も話せない俺の代わりに話しかける紫音。
俺はというと何もできずに彼女の後ろに隠れるように立っているだけだ。
空ろな眼で俺たちを見る漆多。
「ああ、柳か。スマン。心配してくれてありがとう。俺は大丈夫だ。サンキュ……」と消え入りそうな声で答えるだけだ。
「漆多……」
と、それだけ言っただけで次の言葉が出てこない。
「月人か……。寧々が死んじゃったよんだ。俺、俺ど
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