第二十四話
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察や消防の人が学校内を調査のために行き来します。また皆さんに話を聞きたいと言ってくるかも知れません。その場合は、知っていることを包み隠さず正直に話してくれるようお願いします。これは校長よりの指示であることも伝えておきます。先生が新たに情報を入手したらすぐに皆さんとご家族の方にはお伝えします。……以上です」
そういって話を打ち切った。
佐藤先生も実際の所、すべて真実を知らされてはいないんだろう。
あとは、ごくごく事務的な話が少しあっただけでだった。一つだけ明確に指示されたこと、それは《廃校舎には絶対に近づかないこと》だった。
休み時間になると、クラスの話題は廃校舎の火事、いや事件の話で持ちきりだった。……火事というよりは、日向寧々と如月流星の死因についてだったけど。
俺は席を立ち教室の外へと出た。
女の子達が悲しむ姿や、無遠慮に寧々と如月の関係についてあれこれと話題にしているのを見たくも聞きたくも無かったからだ。
俺が無力だったせいで日向寧々を死なせてしまった。その事実が俺を苦しめる。
昨日まではすぐそばにあったものの不存在。その喪失感。
ただ、悲しい。
「柊君……」
背後から声をかけられた。
そこには紫音が立っていた。
「ちょっといい? 」
そういうとさっさと歩き始める。俺は仕方なく彼女の後をついて行った。
屋上までの階段を上がる間、会話はなかった。
屋上には誰もいなかった。
「日向さんが亡くなったのはとても悲しいことだわ。そして、柊君にとっては私が思っている以上に辛いことだと思う。とても仲が良かったもんね。でも……」
「でも、何だい? 」
「よくはわかないんだけど、柊君は何か他にも原因があってより辛そうにしているように見えたから」
ズバリと言い当てられている。俺は悟られないように、動揺を押し隠したけど果たして?
「クラスメートが死んだんだから、落ち込まないわけないよ」
「そうね。友達が亡くなったらショックを受けるのは当たり前だもんね。ほとんど話したことのない私だって、凄いショックだもん。……でも、柊君からはそれ以上の苦しみ悲しみが見えてくるの。私の気のせいかもしれないけど、小さいときからずっと一緒だったからあなたのことは他の誰よりわかっているつもり」
やはり付き合いが長い分、俺のことをよく知ってる。何が原因かはわからないだろうけど、俺の感情をなんとなく理解してしまっているんだ。
俺は思わず今の俺の置かれた状況を紫音に打ち明けてしまいそうになる。
でもそれはできないんだ。彼女まで巻き込んでしまうわけにはいかないから。
「……日向は漆多とつきあい始めたばかりだったんだ。いきなり彼女を失ってしまったあいつのことを思うとなんだかどうしよ
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