忘却のレチタティーボ 4
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今、さらりと。
神聖な教会には似つかわしくない、物騒なセリフが聞こえたんですが。
犯……、何？
何を言ってるの、メアリ様？
「とっても怖かったでしょう？ 痛かったでしょう？ 知らない男三人に、いきなり地面へ押し倒され、服を破かれ、前戯もされずに無理矢理暴かれ、何度も何度も腰を打ち付けられて。私はよぉく覚えていますわ。ほんの少しだけ食べた貴女の絶望は、とろけるような甘いお菓子の味がしましたもの。好いた男に振り向いてもらえず、かといって自分を磨き直すでもなく、陰で怨みを募らせていただけの愚鈍で不様なメアリとは、味も香りも大違い」
あの、言葉の端々が滅茶苦茶怖いんですけど。
っていうか、貴女がメアリ様ですよね？
他にメアリ様はいませんよね？
「貴女が知っているメアリはこの体の持ち主で、私の契約者。悪魔と知らずルグレットに一方的な想いを寄せた挙げ句、先日からの貴女達の仲を妬み、自らの魂と引き換えに貴女を不幸にしてくれと願って消えた、バカな女よ」
あー……なんか、すみません。
いろんな誤解を招いていたのは分かりました。
でも、消えたって何？
貴女はここに居るのに。
というか、普通に会話してる？
私、口も体も、自分では全然動かせてないんですけど？
「当然ですわ。その体は、私の力で惑わせているのですから。貴女の意思はこれからゆっくり、丁寧に融かしてさしあげます。でも、そうね。しっかり思い出してくださらないと、貴女の心は護られたままでしょうし……」
え。
ちょっ、メアリ様!?
女同士で唇を寄せるというのは個人的にかなり抵抗があると言いますか、その綺麗な顔を近付けないで!?
私の心臓が壊れ……っ……
…………!?
「……見えるでしょう？ それは私の記憶。過去、この場所で起きた事実」
日暮れ時。
別れを惜しみつつ、膝から下ろした白いウサギ。
立ち上がった瞬間、真横から知らない男の人に掴まれた右腕。
抵抗しようとした左腕まで、別の男の人に掴まれて。
わけが分からないまま、地面に無理矢理、引きずり倒されて……
……なに、これ。
こんなの知らない。
こんなこと、私、知らない！
「知らないのではありませんわ。忘れているだけ。貴女も契約者ですもの。敬愛すべき室長様の、ね？」
や……、イヤだ！
こんなの見たくない！ 気持ち悪い！
やめて、私に触らないで!!
「そうよ、ステラさん。感覚ごと、全部を思い出して。苦しいでしょう？ 気持ち悪いわよね？ でも、それは本当にあったこと。貴女は十年以上前の少女の頃に、恋を知る間もなく体を開かれてい
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