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ソードアート・オンライン〜Another story〜
ALO編
第146話 2人の勇者
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て、あの世界を見上げた。
グラブドンが支配している場所は、ここよりももっと強い重力に支配され、身体中の骨と言う骨が砕かれる感覚に見舞われている事だろう。じわじわと嬲る手を選んだ須郷は、そこまでの強力な重力は求めていなかった。つまり、あの重力はこの世界でもっとも凶悪な魔法。
「随分とグラビドンはご立腹の様だよ。現実にも影響が出る恐れがあるレベル3よりもまだ低くしてあるようだ。……いや、或いは、あれはMAXまで下げてる、のかな? そう言えば、心底嫌っていたしねぇ……」
くくくっ、と喉の奥を鳴らせながら笑う須郷。
「情けないなぁ? 君のお友達はもっと辛い苦しみを味わってるんだよ? 身体が潰されていく感覚さぁ、いやぁ……知りたくないねぇ、そんな物騒なものは。……で? なのに、君はたったツマミ2つ程度の8で、その体たらくかい?」
ニヤニヤと笑いながらキリトにそう吐き捨てる。だが、もう飽きたと言わんばかりに アスナの方へと視線を向けた。アスナは、キリトの姿を見て……怒りの意思を持って須郷に叫ぶ。
「い、今すぐキリトくんを解放しなさい! 須郷!!」
その叫びもまるで耳を貸す様子はない。
「僕はね、こういうガキが一番嫌いなんだよ。何の能力も背景も持たないくせに口だけは一丁前の小虫がね。くく、標本箱の虫はこうしてピンで止めておかなけりゃ。それに僕は優しい方さ。彼にくらべりゃ。……それよりも、小虫君の事が心配できる立場なのかい? 小鳥ちゃん?」
須郷は、右手を伸ばし、アスナの頬を撫でる。アスナは、それを必死に拒むが、身動きの取れない2つの呪縛。鎖と重力による呪縛の前にはどうすることも出来ない。
アスナの顔が嫌悪に歪んだその時。
「やめろっ……、須郷ッ!!」
必死に、遠い道のりを、一から進むように。地に伏した状態から、再び高く飛ぶ為に もがいた。そんなキリトを見て、アスナは気丈な笑みを浮かべた。
「大丈夫、大丈夫だよ、キリト君。わたしは、こんなことで傷つけられたりしない。私は、私たちは……っ!」
その瞬間、須郷は軋るような笑いをあげた。
「そう、そうこなくっちゃね、君が、君たちがどこまでその誇りを保てるか、30分? 1時間? それとも丸1日? ……せめて レイナ君がここに来るまでは我慢してくれよ? アスナ君の前で、レイナ君を相手にする……と言うのも面白い、だろう?」
そう言いながら、須郷の右手が、アスナのワンピースの襟元を飾っていた赤いリボンを掴んだ。通常であれば、装備を解く様な真似は出来ない。だが、須郷の行為はそれを可能にした。アスナの衣服の一部、胸元の布地を一気に引きちぎった。真っ白なそのアスナの肌が覗く。
恥辱に歪み、ついにアスナの身体は小刻みに震えた。
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