第一話 始まりの詩
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第一層上空にシステムアナウンスと書かれた英語が浮かび上がっており、人々はようやく運営によるアナウンスがあるのかと喜んでいたが、次の瞬間、中央から雫のような物が現れ、それは空中でフード付きローブを纏った何かに変わった。
「何だ……アレは……」
俺が言うと、何かは声を発した。
『プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ』
声を聞いたとたん、眼を見開いた。
まさか、そんなはずはと思い、続きを耳にする。
『私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロール出来る唯一の人間だ』
予想は、当たってしまった。
「何で……貴方が……」
ショックで膝が折れた俺の耳に二の次が告げられた。
『プレイヤー諸君は、既にメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気が付いていると思う。しかし、ゲームの不具合ではない。繰り返す。これは不具合ではなく、?ソードアート・オンライン?本来の仕様である』
「仕……様……?」
クレイがささやいた。それに被さるように、アナウンスは続いた。
『諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトすることは出来ない。また、外部の人間の手による、ナーヴギアの停止或いは解除もあり得ない。もしそれが試みられた場合ーーーー」
わずかな間が空き、アナウンスは続ける。
『ーーーーナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる』
途端、クレイがビクッ、と体を震えさせる。
脳を破壊する。つまり、俺達を殺す、と言っているのと同意義だった。
確かに、ナーヴギアには大容量バッテリーを内蔵している。やろうと思えば、確実に出来る。
と、そこにアナウンスが続く。
『より具体的には、十分間の外部電源切断、二時間のネットワーク回線切断、ナーヴギア本体のロック解除または分解または破壊の試みーーーー以上のいずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行される。この条件は、既に外部世界では当局及びマスコミを通して告知されている。因みに現時点で、プレイヤーの家族友人等が警告を無視してナーヴギアの強制除装を試みた例が少なからずあり、その結果ーーーー残念ながら、既に二百十三名のプレイヤーがアインクラッド及び現実世界からも永久退場している』
クレイが、細い悲鳴をあげる。見ると、顔は涙を浮かべていて、体は震えている。
「クレイ、落ち着け」
俺は宥めようとして、耳を塞ぐ。
そして、暫くの説明が延々と聞かされ、最後に言う。
『それでは、最後に、諸君にとってこの世界が唯一の現実であると言う証拠を見せよう。諸君のアイテムストレージに、私からのプレゼントが用意してある。確認してくれ給え』
俺とクレイは同時にストレージを開け、アイテム欄のタブを開く。
入っていたアイテム名は?手鏡?。
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