15部分:第十五章
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第十五章
「既にね」
「そうだというのか」
「人間でありながら」
「あまり人間を侮らないことね。何故なら」
言いながらその薔薇を携えて。さらに言うのであった。
「貴方達はここで私に倒されるからよ」
「戯言を」
「そうはいくものか」
「貴様はここで死ぬ」
言いながらであった。それぞれ前に出て沙耶香を取り囲む。そのうえで一斉に襲い掛かったのだった。
だが沙耶香はここでその薔薇を散らした。それで彼等の視界を防いだのだった。
「くっ、薔薇が!?」
「薔薇が目を」
「まさかその為の薔薇だというのか」
「ただその為の薔薇ではないわ」
紅の花びら達が舞い散る中で悠然と笑う沙耶香であった。そこには香りまである。甘い、それでいて何処か誘う薔薇の香りであった。
「この薔薇には毒があるのよ」
「毒だと!?薔薇にか」
「まさか」
「まさかではないわ。奇麗な薔薇には毒があるものよ」
その薔薇の中での言葉だった。
「その中で永遠に眠りなさい」
「おのれ、そう簡単にはだ」
「いかせぬぞ」
死を告げられても前に出ようとする魔物達だった。しかしであった。
そこに再び来た。沙耶香は素早くその手にまた薔薇を出して来た。今度は漆黒の花びらを持つ薔薇であった。
その黒薔薇を投げたのだった。それは投げられた瞬間に一斉に複数に分かれそのうえで異形の者達の胸に突き刺さった。それで終わりであった。
「ぐう・・・・・・」
「まさか我等が」
「人間にだと」
「只の人間ならどうということはなかったでしょうね」
ここでこんなことも言う沙耶香だった。
「ただ」
「貴様は只の人間ではない」
「そうなのだな」
「そうよ。今の私は天使」
その右手に黒薔薇を持ちながらの言葉だった。
「異形の者は天使に敗れるものね」
「くっ、無念・・・・・・」
「まさか我等も」
「そのまま眠りなさい」
消えようとする彼等への言葉だった。
「安らかにね」
その言葉を告げると彼等は完全に消え去った。そして後に残ったのは。
「おい、何で俺達ここにいるんだ?」
「さあ」
「さっきまで外で走ってたのにな」
「何でなんだ?」
取り憑かれていたレーサー達が顔を見合わせて言い合いだした。
「それで何でここに」
「何かあったのか?」
「休憩でもしていたのかな」
「そうじゃないのか?」
「知らない方がいいことね」
その彼等を横目に見て呟く沙耶香りだった。
「それは」
「まあいいか」
「こんなところ早く出てな」
「国道に行こうぜ」
「そこで走るか」
レーサーらしい会話をしていた。そのうえでヘルメットを被ってだった。
「ちょっと悪いな、お嬢ちゃん」
「行かせてくれ」
公園の門のところにいた忍に声をかけて
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