インターミドルに向けて
二十三話
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面にめり込んで死にかけた、とかちょっとお茶目に体験談を添えて答えただけである。それくらいで却下されてしまった。
「別に普通じゃね?」
「……どこが普通なんですか」
「そうか?」
「そうです」
隣を走るアインハルトは、呆れたように答えた。
アインハルトはアレクと対峙し、実力の欠片は知っている、つもりである。
だが、そのなアレクを軽くあしらう実力者、それも手加減という言葉が見当たらないような者。対峙し、怪我をして大会不参加……どころか日常生活に支障をきたす事態になったらどうするのか。
ぶっちゃけ、そんな相手に誰が頼むか! という話である。
アインハルトも強い相手は望むところの姿勢ではあるが、限度を超す相手は遠慮したい。今のところは。
「や、でもなして俺まで対決禁止なん?」
「危ないからです。大怪我して出場停止になりたいのですか?」
「んな大げさな……」
死にかけが大げさなものか、とアインハルトは呟くが、アレクは気づかない。戦えば怪我するのは当然と思っている故に。
殴られれば当然の事、殴る方にしても、拳の握りが甘ければ指や手首を負傷する。蹴りにしても同じだ。
また、怪我をする事により失敗を知れる。
攻撃をする際に、受ける際に、捌く際に、躱す際に負ったのならば、それは間違いであったということ。怪我をし、間違いを体感して知れる。怪我の大小は、間違いの大小でもある。
アレクからすれば怪我は戦う際に必ず負うものであり、判断材料でもあった。なので対決禁止はその判断材料を奪われる事になるので納得できようもない。
そしてもう一つ、無視できない懸念がある。
アレクはアインハルトとの対決以来、身体を酷使するにつれ、強い衝動に犯されるようになっていた。受け継いだ戦闘経験だ。その戦闘経験がアレクの身体を十全に使わせようとするのである。
余力があるうちはまだいいが、疲労が溜まってくると度々意識を持って行かれそうになる。もし意識を持って行かれたら、また“大事”が起きてしまうかもしれない。
だから本当の強者でなければ、アレクは全力を出せない。下手に強い者ならば……戦わない方がいいだろう。
だが、もし其処に圧えられる程の強者が居れば……
チラリとアインハルトを盗み見みる。
(……駄目だな)
アインハルトでは無理だろう。ヴィヴィオ達でも無理だろう。ノーヴェは……恐らく無理だ。
どうしたものか、とアレクがうんうん唸っていると、アインハルトから声がかかった。
「……あまり現を抜かしているとおいていかれますよ」
「へ?」
アインハルトの視線に倣い前を見ると、ヴィヴィオとリオが競い、コロナが2人の後を追う形で速度を上げてい
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