11部分:第十一章
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第十一章
「いいかしら」
「護って!?」
「そうよ。貴女をね」
「私を」
「一週間だけだけれど」
こう言ってであった。
「いいわね、それで」
「あの、一体何を」
「それではよ」
微笑んで背中から何かを出してきた。それは三対、六枚の漆黒の翼だった。その巨大なそれぞれ沙耶香の倍はあろうかというものを出してきたのだった。
それを羽ばたかせると急に姿を消した。忍が気付いた時には彼女の姿はもうなかった。
「えっと・・・・・・」
ここで彼女は何故自分が今ここにいるのかわからなくなっていた。当然沙耶香のこともだ。頭の中から完全に消え去ってしまっていた。
その呼んできたクラスメイトに聞いても要領を得ない。彼女もだった。そのまま何かと僅かに思いながら教室に戻った。その日の放課後だった。
学校から家に帰ろうと学校を出た時だった。校門のすぐ側に不審な男がいた。
忍は彼に気付いていない。だがもう一人が気付いていたのであった。
「早速来たわね」
「何っ!?」
「押矢健一二十一歳、職業は大学生」
こう言ってみせたのは沙耶香だった。言いながら忍の後ろに姿を現わす。しかしそれが見えるのはその押矢の目にいるものだけであった。
「経歴は普通ね。ただ」
「まさか貴様は」
「天使よ」
その目にいる存在に対して微笑みながら告げる沙耶香だった。忍のその後ろのところ、頭の部分に浮かびながらだ。そのうえで言ってみせた言葉である。
「私は天使よ」
「馬鹿な、そんな天使がいるものか」
「ところがいるのよ」
楽しげな微笑を浮かべての言葉だった。
「私はね」
「では一体どうするつもりだ」
「この娘を護らせてもらうわ」
言いながらであった。その右手に何かを出してきた。それは青い氷の剣であった。
その剣を投げて男の影を突き刺した。するとそれで異形の、山羊の頭を持った何かが出て来て凍りつき砕けてしまったのであった。
沙耶香はその砕けたものを一瞥しただけであった。男は今更ならが周囲を必死に見回しそれで混乱した面持ちになっていた。
「何だ?俺は一体こんなところで何をしているんだ?」
「ナイフね。これでなのね」
何時の間にか彼が懐の中に入れていたそれを取り出している沙耶香だった。忍はその彼の横を通っている。彼女は全く気付いてはいない。
「こんなものはね」
それを黒い炎で燃やしてみせる。それで終わりだった。
「これで何もなかったことになるわ」
「帰るか」
男はこう言ってそのままその場を去る。これで終わりだった。
この日はこれで終わった。そして次の日は忍が登校で電車を待っている時だった。満員のそのプラットホームの先頭にいる彼女に後ろから誰から近付いてきたのであった。
「そこまでよ」
「何っ!?」
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