マブラヴ
1060話
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「……さて、これで取りあえずは動きを封じた訳だ」
「ぐっ、ぐがっ、ぎ、ぎさまぁ……」
両足が爆発の影響で焼失して地面に転がったまま、濁った言葉遣いで俺の方を睨んでくる酒呑童子。
この状況でも尚その目に自分の負けを認めるような色がなく、怒気や殺気が浮かんでいるのは、さすがに酒呑童子を名乗るだけはるといったところか。
色々と腑に落ちない能力を持っている相手だったが、意外と本物の酒呑童子だったかもしれないな。
そんな風に考えつつ、こうなってしまった以上はもう一気に仕留めてやった方がいいと判断してスライムで吸収しようとした、その時……
「ただで……ただでやられてだまるがよぉっ!」
血を吐くような叫びと共に、俺を見ている酒呑童子の両目が微かに光る。
瞬間、身体が重くなる。
まるで手足に50kgずつの重りを付けられたかのような、そんな感覚。
確かに両手足にこれ程の重りが付いたような状態である以上、普通の奴なら動けなくなるんだろう。
だが、それはあくまでも普通の人物であればこそだ。
混沌精霊としての俺の能力を考えれば、この程度の……両手両足合わせて200kg程度の重量があったとしても、多少動きにくく感じるだけでしかない。
1歩、2歩と地面に倒れている酒呑童子へと近づいて行く。
そんな俺の様子が余程意外だったのだろう。酒呑童子は大きく目を見開きながら叫ぶ。
「ぐぞっ、よりにもよってこいつに相性のいいのが。づくづぐ運が悪いな、俺も」
その言葉に、思わず眉を顰める。
こいつが言っているのは、間違いなく先程の魔眼に関しての事だろう。それは間違いない。
だが、よりにもよって? それはつまり、酒呑童子自身ですらもあの魔眼を使った時に相手へどんな状態異常を与えるのか分からないのか?
いやまぁ、そう考えれば先程の炎獣との戦いの時に、一種類ではなく様々な……本当に様々な、それこそ10種類以上に及ぶだろう状態異常を使っていた理由も納得出来る。
俺はてっきり炎獣に効果のある状態異常を調べる為、わざと色々な種類の状態異常を付加したのだと思っていた。
けど、実はそれは完全にランダムだった?
もしそれが本当だとしたら、魔眼は魔眼でもかなり使いにくい魔眼だな。
そんな風に考えつつ、そのまま酒呑童子との距離を縮めて行く。
幾ら鬼として考えても桁外れの再生能力を持ってはいても、さすがに両足が使えなくなった状態で再生するような冗談の如き再生能力はないらしい。
いやまぁ、そこまでの再生能力があれば、アインストへの感染を疑わざるを得ないんだが。
ともあれ、こうして見る限りでは既に身動き出来る体力もなく、魔眼を使ってしまって何らかの特殊攻撃を出来る程でもない。
酒呑童子の伝承が確かなら空を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ