第十二話 大人or子ども
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「よしよし、泣くなよ〜。いいか、よく聞け。そのアイテムがあるってことは、生き返らせることが可能ってことだ」
「ほ、本当ですか!?」
絶望から一気に希望の園へと舞い上がったかのように表情を明るくするシリカ。
男は話を続ける。
「まだ認知度が低いんだけどな。四十七層にある《思い出の丘》っつうフィールドダンジョンでゲットできるアイテムに、使い魔を蘇生できるやつがある」
「よ、四十七層、ですか……」
降って湧いた幸運が、一気に遠ざかっていく。四十七層といえば今いる層から十二も上のフロアだ。
攻略組には劣るものの、コツコツとレベルを上げてきたシリカでさえ今のレベルは44。
安全マージンを取ろうとすると今から15レベルの上昇が必須。
だが、それさえできれば。時間をかけてもそのレベルに到達すれば、ピナは帰ってくるのだ。
そう奮起するシリカに、しかしリュウヤは彼女の心中を計ったように告げる。
「あとな、使い魔蘇生できるの、死んでから三日までだ。それ以降は《心》が《形見》になっちまう」
「そ、そんな……」
一気に奈落の底へと落とされたシリカは悄然とする。
たった一度の過ちが、彼女の相棒を死に至らしめた。それを償う機会すらもう与えられないのかと。
目に涙が浮かび始めるシリカをよそに、男が立ち上がるそぶりを見せた。
去っていくのだと予感したシリカはせめて助けてもらった礼だけでも言おうと、うつむいていた顔を上げる。
そこに見えたのは、ウインドウを操作している男の横顔だった。
「まぁ泣くな嬢ちゃん。まだ三日もあるんだ。十分間に合う」
言いながら操作を続けていると、シリカの目の前にトレードウインドウが開く。
そこに流れ込んできたのは見たことも聞いたこともないアイテム名の数々ーーー。
「これ使えば五、六レベルくらい底上げできるはず。あとは……俺がついてきゃ完璧だな」
「へ……?」
少し間の抜けた声を出してしまう。
自信満々な表情で言う男の真意も分からない上に、彼の素性も当然未知。
ただ、恐いとは思わなかった。
先ほどシリカを助ける際に《ドランクエイプ》を一瞬にして倒して見せた時もそうだが、圧力といったものが全く感じられない。
男性の特徴と言える広い肩幅や、シリカが見上げられるほどの高身長、完全に声変わりを済ませた低音ボイスは、彼を年上と認識できるし、それ相応の雰囲気を醸し出しているはずなのだが、しかし少し童顔に見える顔立ちや、彼の子どもっぽい物言いとあっけらかんとした態度がそれらを台無し(?)にしている。
「なんで、そこまでしてくれるんですか?」
だから、男に対して覚えたのは警戒心ではなく純粋な疑問だった。
デスゲームと化した《SAO
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