第十二話 大人or子ども
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が安堵できる領域ではない。
加えて、シリカを襲ったモンスターが、迷いの森最強クラスの猿人《ドランクエイプ》。その数三体。シリカの実力ではとても余裕でいられない。
だが冷静さは失っていない。しっかりとやるべきことを素早く思考する。
すぐさま短剣を抜刀し、ひと呼吸おいて、シリカから見て左側、酒樽をユラユラと揺らしながら棍棒を肩に担ぐ猿人に襲いかかる。
速さには自信のあるシリカはそのスピードで彼我の距離を殺し、逆手に持った短剣の刃を右腕に斬りつける。
そのまま敵を通り過ぎ背後から刺突。引き抜くと同時に跳び上がりうなじに斬り込みを入れつつ、猿人の肩を蹴って後方へとジャンプし着地。
背後からの攻撃が効いたのか、少々怯んでいる。そのスキをついて連続技《ファッドエッジ》を繰り出す。
その数秒の攻撃で大きくHPを減らした《ドランクエイプ》にトドメを刺そうとシリカは短剣を構え直す。
キィィンと音が鳴り始め、彼女の短剣の刃にソードスキルが立ち上がったことを示すライトエフェクトが輝きだす。
「やあぁっ!」
短剣の中級突進技《ラピッドバイト》が《ドランクエイプ》のHPを削り取るために、その身体を貫くーーーことはなかった。
標的にしていた《ドランクエイプ》が後方にさがり、後ろにいた仲間が無理やり割り込んで来たのだ。
つまり、強引な《スイッチ》。
(うそ……!?)
ソードスキルを発動させてしまっているシリカは止まることができずに突進する。
そこに待ち構えるは、悠々と棍棒を構える猿人の不敵な笑み。
全くスピードを緩めることができないシリカの刃に《ドランクエイプ》の棍棒が横薙ぎに振るわれる。
煌々と輝いていた短剣は次第にその光を明滅させながらシリカの手から飛んでいった。
ソードスキルが失敗に終わったシリカは技後硬直し動けない。それを見た《ドランクエイプ》は振り切った棍棒を切り返し、再度横薙ぎに振るった。
狙われたシリカは回避することも防御することも許されず、なすがままに。
HPも心許ない彼女に、この森最強クラスのモンスターの一撃。
ゆえに彼女は悟った。
もはや、死は必然。
徐々に迫り来る棍棒を見つめながら、彼女の思考はなんの雑念もなく、ただ死後だけを見据えていた。
棍棒が横腹に直撃し、彼女のHPを黄色から死の道を示す禍々しい赤へ変わり、やがて色さえ示さなくなる。
そして現実世界で彼女が頭に被るナーヴギアがプレイヤーの死を察知して、脳に直接電流を流し込み、脳を破壊するーーー
そんな未来を、シリカはなんの感慨もなく脳裏に浮かべていた。
だが、その未来が訪れることはなかった。
猿人の武器がシリカを捉える寸前、敵と同じように間に割り込んできた。
その者はしか
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