第十二話 大人or子ども
[3/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
を欲しいってパーティーはいくらでもいるんですからね!
そう言い放つやシリカはパーティーを抜け、一人出口へと向かった。
《迷いの森》は数百を超える区画がランダムに出現し、区画を跨ぐごとに転移する。
街で売っている高価な地図を持っていない限り脱出するのは困難なのだが、シリカはそれすらも余裕で行けると思っていた。
ランダムに転移するとはいえインターバルは存在する。その時間内に次のエリアへと移動すれば何の問題もない。直行で出口へと向かえる。
そう考えていた。
だが、現実は甘くない。
まず、全力で走ってもギリギリのところでたどり着けないで、強制転移させられる。
次に、それが連続で失敗し、精神的な疲労を蓄積していく。
やがて、成功する可能性が無いに等しいと身に感じ始め脳内が絶望で埋め尽くされていき、縋るはランダムによって生まれる幸運のみになっていく。
そして、モンスターはすり減らされた精神状態のプレイヤーを狙うがのごとく、現れる。
まっすぐ北へ向かおうとするがことごとく強制転移され、回避できない戦闘を繰り返し、ついには精神的な疲労に加え体力も心許なくなり、更には回復アイテムの残量、ゼロ。
この状況下でシリカはただただ願う。
ーーーもう二度と自分が特別だなんて思いません。だからどうか、次のワープでエリアの端に飛んで……!
ランダムで強制転移する場所はこの森の北にある入り口のエリアも含まれる。転移でそこに飛ぶ可能性はゼロではない。
転移数秒前から目を瞑って祈る。
次に目を開けたらそこは出口ーーー
ーーーゼロでないだけで、そこに飛ぶ可能性はあまりにも低すぎる。
数秒たって目を開けると、そこに広がるのは先と変わらない鬱蒼と生い茂る木々に、宵闇に反抗するように光るコケたち。
はぁ、とため息をつき自分の運のなさに落胆していると、《ピナ》と名付けた小竜が警告を知らせるように鳴いた。
この鳴き方は小竜が使える索敵の範囲内にモンスターが現れた時のそれだ。
だが、いつもより表情が険しいような……?
ドッッッーーー!!
(な、なに……!?)
いきなり背後からの攻撃。モロに受けたシリカは抵抗すらできず前のめりにふきとばされる。
それでもなんとか受身は取りつつ危うく着地しHPバーを確認する。
そこに表示されていたのは赤く染まる一歩手前の黄色いゲージ。すぐさまポーチに手を伸ばすが、
(しまった、結晶もポーションもなにもないんだった……!)
シリカは歯噛みするが、主人の身を案じて寄り添う小竜が優しい吐息をかけてくれた。
少量ながら体力が回復していく様を見て、シリカはピナにありがとうとつぶやく。
それでも体力はその半分を下回っており、とてもじゃない
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ