第1章 光をもとめて
第9話 リーザスの王女
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様なんでな。……一先ずは構わない」
ランスは下心満載でそう言うが、その女は首を左右に振った。
「あの、内密なお話なので……」
指し示された先は、城門の方、即ちリーザス城の中。
マリスを先頭に、歩いていく。
「今回の件ですが、コロシアムでのお力を拝見しまして。お力を貸して頂きたいのは、王女様の方です」
「王女……様?」
この国のトップと言ってもいい存在からの依頼。喰いついた獲物は、最上級クラスだとこの時判った。
「王女様だと………?」
ランスは途端に表情を顰める。
マリスは何かを悟られたのか?と、一瞬だけ、ほんの一瞬だけ同じように顔を顰めていた。その強張りを、ユーリは見逃す筈もない。……と言うか、ランスの次の言葉くらいは直ぐに予想がついていた。
「美人なんだろうな? 君が仕える王女様と言うのは!?」
「………」
マリスは一瞬だけ呆けに取られたようだ。
難しい表情をしていたから、何事かと思いきや、王女の容姿を心配していたようだ。だが、すぐさま表情を元に戻す。その辺りは流石だろう。
「はい。それはそれは、勿論。あれ程の美しさと気品を兼備えたお方を私は知りません。私なぞ、足元にも及ばないでしょう。ふふ、コロシアムにも興味を持っておられる御方ですから、貴方達に大変興味があるのです」
マリスはそう語る。
ランスはその言葉を聞き、目の前の美人より更に美人と言う事を聞いて更に気合が入ったようだ。
「がはは! それは楽しみだな!」
マリスはその返答に一礼し、今度はユーリの方に視線を向けていた。呆れ果ててる……と言うのがよく解る表情だった。気持ちは解らなくも無い。
「ユーリ様は、どうでしょう? ……お力をお借りできませんか?」
「ん。因みにその案件と言うのは? 内容も踏まえて考慮したいのだが」
「詳しい内容はお城でお話します。……でも、貴方たちにもそんな話にはならないはずですよ。……そうですね、探し物が見つかったりするかもしれません」
一気に空気が、ぴん……と 張り詰めた気がした。
諜報系は決して得意とはいえないが、それなりには気を使い行動をしてきたつもりだった。だが、相手は大国リーザス。甘く見すぎていた事を痛感する。
綻びは、あの女忍者だろうか、或いは……本当にコロシアムで目をつけただけなのかは判らないが。
「こちらにメリットが大きそうだ。……詳しくお願いする」
「ありがとうございます。ユーリ様。ランス様。それではご案内させていただきますので、こちらへ」
その笑みは何処か妖艶であり、綺麗な花には棘があると言う言葉がしっくり来る。手入れはしっかりと施した薔薇だが、棘を何処かで隠している。そんな印象を受けた。
ユーリ
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