第1章 光をもとめて
第9話 リーザスの王女
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は、自身の膝の上に置いた弁当箱を持ち上げ。
「元気、無いね……? 厚焼き卵、1つ食べる?」
弁当箱をメナドが差し出した。まだ、温もりが残っており その美味しそうな香り、匂いが彼女の鼻の奥を刺激する。
「うっ……美味しそう……、で、でも 私 忍者だから……」
「あー、そっかー、じゃダメか」
ニコニコと笑いながら、弁当箱を引っ込めるメナド。このやり取りは、何度もしていたことであり、何よりも 彼女が元気になりつつある時に言っている事だから、メナドは少し安心した。
「あっ! で、でも ほら。ちょっとくらいなら…… その、臨機応変と言うか、現場での判断、と言うか……」
「くすっ……。ふふ、はーい」
空腹気味な事と、その美味しそうな匂いに完敗した彼女。……親友の前だからこそ、出せる本当の彼女の顔の1つだった。
伸ばした箸で、しっかりとその厚焼き卵を掴むと、そのまま口の中へと。咀嚼をし、噛み締める様に味を楽しむ。
「ぱくっ……うう、おいしい……、堕落の味だわ……」
ん〜〜っと 味を噛み締めつつ そう言う彼女。それを訊いたメナドはますます笑顔になる。
「大袈裟、だなぁ。 これって結構簡単だよ? 作り方、教えようか?」
「……っ、そ、それは…… うん、ええっと……、私、忍者、私忍者……だから。じゃあ、ちょっと……ちょっとだけ……」
普段の彼女の前に見せる本当の自分と、本当の自分を押し殺し 忍者としての素顔を、その仮面を作っている彼女の両者が、狭間で 葛藤しているのだが、それでも親友の笑顔の前では、忍者としての仮面は一時的に消え去ると言うもの、だった。
「あははは! 忍者、たいへんだねー!」
「うう……、そうね、大変。最近はする事が多いし。……変な男と、関わるハメになるし」
彼女が変な、と思うのは、勿論片方の男。……学園に侵入させているのであろう桃色の髪の女の子に関しては筒抜けだ。……が、潜入させているのにも、関わらず 学園内で、情事を行っている所もバッチリ見てしまっているし、他にも、女の子を襲っている? 所も何度も見ている。 だからこそ、良心と言うのも薄れると言うものだ。
そして、もう1人いるのだが……、彼の事は中々つかめない。
尾行をしようとするのだが、警戒を常にしているのだろうか? と思えてしまい、距離を積める事が出来ないのだ。……自分の位置が直ぐにバレてしまいそうで。
つまり、変な男、と言う面に関しては1人しか知らない。そして、もう1人は中々情報が掴めない、と言う苛立ちもあり、それをぶつける様に手製の忍者食をがりがりと齧った。
「ん? 変な男??」
「うん、すごくバカで、その上スケベで……、おかしくなったわんわん? いや、わんわんの方がマシって
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