暁 〜小説投稿サイト〜
ランス 〜another story〜
第1章 光をもとめて
第9話 リーザスの王女
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に」

 ウェリスは、ユーリに感謝をしていたが、最後の方にはため息を吐いていた。

「……それは、誰の事、とは訊かないでおく。大体判る。想像つくから」
「はい。……想像の通りで間違いないです」
 
 お互いにため息を吐いている場面は何処となくシュールだ。

「水晶を勝手に触ったり、突然飛びかかってきたり、勝手に机の中を見たり……」
「………」

 誰の事を言っているのか、本当によく判ると言うものだ。名前を言っている訳じゃないけれど、絶対《ラ》から始まる名前の男だ。

「それに、私の可愛いこのぬいぐるみの事をいじめたり、変な名前をつけたりするんですよっ! 信じられますか! ユーリさんっっ!!」
「あー……えー……、それ? このぬいぐるみ?」

 ユーリは、ウェリスが指さしながら絶叫しているのを見て 改めて聞いた。ちょっと名状しがたく、何処となく狂気じみていて、更に冒涜的な表情を浮かべている。
 レベル屋と言う職業は、その上位にAL教がある。そんなレベル屋の者が持つ物、とは思えない。
 ……ぬいぐるみ、と言うより怪物?

「……なんですか? ユーリさん。その目は」
「いやーなんでもないぞー」
「もうっ!! ユーリさんも同類なんですかっっ!!」
「なんでそうなる! それに、感性は十人十色だろ。オレは否定したりはしない。……まぁ 多分」
「多分、ってなんですかっ!」

 その後、ウェリスに一通り悶着をして。

「はぁ、連れを待たせているんでな。もう、良いか?」
「む、むぅー 何だか納得出来ませんが」
「これから優先的にウェリスのレベル屋でレベルを上げる、って約束をする」
「判りました♪ よろしくお願いします♪」

 あっという間に、笑顔に戻るウェリス。『何だかな……』とユーリは思っていたんだけれど、刺激しない様にしつつ レベル屋を後にした。


 次に目指すはリア王女の別荘《妃円屋敷》。


 その場所に、今回の真相が、真実が眠っているのだった。彼女の苦しみ、嘆きと共に……。


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