第1章 光をもとめて
第9話 リーザスの王女
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はそのまま一歩前へと出た。
レベル屋とは少し特殊な為ここで、少し説明する。
≪レベル屋≫
冒険者が戦闘、鍛錬で得た経験値を正確に計り、自身の能力を向上させるレベルアップの儀式を行ってくれる店なのだ。因みに、ここリーザスのレベル屋は 目の前の彼女《ウィリス・藤崎》。
非常に優秀な実力の持ち主であり、数多くいるレベル屋の中でも極僅かなものにしかチャンスを与えられないレベル神への昇格試験を近々に控えていた。ここが、レベル屋が人気な所以である。亜人であるカラーなら兎も角、人間が神になれるのはレベル屋しかないからだ。
「それでは、儀式を行わせてもらいます」
「ああ……」
ウィリスが一度目を瞑る。そして、水晶玉に手を翳した。
「うぃりす、ふじさき、しーろーど……うーら、めーた、ぱーら、ほら、ほら、らん、らん、ほろ、ほろ、ぴーはらら!」
もう聞きなれた呪文だが……やっぱり意味が良く解らない。勿論そんな野暮な事は言わないユーリであった。
そして、呪文も終了し、目を見開いたウィリス。すると神々しいと思える光が水晶玉に走った。眩く部屋を照らす光。それが収まったその時が終了の合図だった、
「……残念ですが、経験値が不足しています。レベルは上がりませんでした」
「そうか。構わないさ。確認の為に来たのが正直な気持ちだからな」
「ああ……成程、そうですね。ユーリさんほどのレベルの持ち主がそう簡単に上がりきるとは思えませんでしたし」
ウィリスは納得したようにそう答えた。
当然だが、レベルは上がれば上がるほど、必要経験値も比例して増してくるからだ。前回の仕事もあり、そして今回の仕事、盗賊の討伐、コロシアムの出場。
それらで、レベルが上がったのかと思っていたが、どうやら、目測を誤ったようだった。
「手間をかけてしまったな。今日はありがとう」
「いえいえ。ユーリさんの様な優秀な、とても優秀な冒険者さんに御贔屓にしてもらえて嬉しいですよ」
「そうか?」
「はいっ! おかげで、私も昇格試験を受ける事が出来ますしっ!」
ウィリスは、目を輝かせながらそう言っていた。レベル神になる事は数多くいるレベル屋を営んでいる者達の最終目標だ。人が神になろうと思えば、その方法しか 見出していないのだから。
「……それは良かった、な」
この時、ユーリの表情には陰りが出来ていた。フードでその素顔ははっきりとは見えない。だけど、雰囲気のそれも、何処か暗い。
「ユーリさん?」
ウェリスも 何処か気になったのだろう。首を傾げていた。
「ああ、悪い。何でもないよ。まだ、この街にいるかもしれないから、利用させてもらうよ」
「本当ですか? 嬉しいです。……はぁ ユーリさんの様に誠実なら良いの
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