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色のささやき
一日目

[2]次話
子供のころ、よく眼病にかかった
その大抵の原因は学校のプール授業にあった

夏の中ほどに学校掛かり付けの校医が訪れ
児童の眼を覗く
眼病にかかった子供は水色の用紙を手渡され
それを嫌な気分で母親に渡した

ボクもそんな児童のひとりだった
『また橋本の先生に行かないとね』
母親のその言葉に去年の記憶が甦る

黄色いねばねばした薬を両目に塗られるだけの治療なのに何か酷く悪いことでもしているような
口には出せない気持ちにさせられる

『虫歯はないね、よかったわ』

母はそう言って水色の用紙を丁寧に折り
白い封筒に入れた

夏休みが始まる前後
最初の治療を受けに行くことになっていた
[2]次話


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