暁 〜小説投稿サイト〜
珠瀬鎮守府
響ノ章
陸戦
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武器庫の方面には敵が来ていないようです。換装するなら今を除いてありません。大回りして向かってください」」
 ではと言って、彼はまた何人かを連れて先へと走っていった。残されたのは私と鳳翔さん。そして、三人の護衛のみ。
「じゃ、武装を取りに行きましょうか」
「そうですね」
 鳳翔さんの言葉に頷いて、私達は武器庫へと向かった。


 武装を手に入れて装着して戻ってきた際、空母と警備隊の戦いは、熾烈を極めていた。否、劇とするなら何と酷い事か。
 警備隊が、空母と極近距離での戦闘をしていた。ある者は銃剣を手に握り、ある者は素手で空母と向き合う。また其れとは別に、足元に近接戦闘をしている者達の物と思われる銃を置いて、空を睨む数人も居た。
 空母は頭部の帽子状の被物から生えた触手と素手を使い、警備隊を翻弄する。だが、その体には既に刺傷の類が幾つか刻まれていた。
「皆、離れて」
 私の言葉を聞いて、一人がこちらを振り向く。
「響殿だ、下がれ」
 彼の号令がかかると、蜘蛛の子を散らすように身を引く警備隊。私は空母に砲を向けて、放った。直撃。だが、まだ生きている。もう一門を砲撃。それは既に銃剣で傷を付けられていた胸部に直撃し、体内に入ってから炸薬が爆裂した。辺り一面に、赤い飛沫が飛び散る。それは、先、警備隊の彼が濡れていた液体と同じ臭いがした。
「……お見事です響殿」
 私は口を抑えた。今まで、何度も深海棲鬼を殺してきた。だが、こんなに近距離で、こんなに生々しくその姿を見たことはない。飛び散ったそれは、いつか、目の前で死んでいった仲間を思い出させる。
 これはまるで、人を殺してしまったかのような感覚。
 ごとりと、何かが地に落ちる音がした。それに気づいた警備隊は私達からそれが見えないように移動するが、私は隠れる前にそれを見た。それは一瞬、何だかわからなかったが不思議と頭から離れず、そうして数秒経ってから気づいた。被り物が落ちた、空母の頭部に他ならないと。
 私はとうとう耐え切れずに吐瀉した。胃の中には物が入っていないからか、僅かな胃液が逆流し口に溜まり、吐出される。
「響ちゃん!?」
「響殿!」
 迫る二人を手で牽制する。やってきたことは変わらない。今までそうやって、沈めて……殺してきたではないか、私は。何を今更感じることがある。
「大丈夫……これで、空母は倒したね。後、戦艦だけ」
「そうです。今、戦艦は提督殿と交戦中です」
「「提督と!?」」
 私と鳳翔さんの驚きの声が重なる。
「ええ。提督殿は撤退せずに戻ってきました。戦艦上陸の報を聞いて、通せば非戦闘員の元へ向かわれると」
「何故止めなかったの」
「止めました! ですが聞く耳を持たれず、それに確かに提督の言葉通り、そのまま進撃されれば皆死にます」
「場所は」
「指
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