第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
今日も今日とて脅迫的に共感を強制
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てました?」
「え? あー、何色っていえばいいんだっけ?」
「黄色とか金色っぽい……なんかこう、くすんだ金色、って感じかな」
「あ、そうそう。それよあたしが言いたいのは!」
「ちょ、人の台詞マジで取らないでくれる?」
「いいじゃん別に。同じ光景見てたんだし」
「マジありえないんですけど〜」
これが女子の会話か……。
友達が言ってたが、思っていたよりも凄ぇ。
幼くから星河とばかり遊んできて、あまり女子との付き合いもなかった昴にとってはこれが初めてともいえる同年代の女子との会話であった。当然、脈絡のない発言が弾幕を張るがごとく一斉掃射され、次々と飛来しては霧消していく中で、相手が同じ高校に通う1学年上の先輩2人組ということもあり、思うように会話の主導権が握れないでいる昴だったが、その先輩2人組は不意に何か思い出したように会話に付け加えてきた。
「あ、そうそう。それで思い出したんだけど、顔はちょっと幼い感じのコだったよ」
「あー、確かにそんな感じ」
「それに……あ、そうだった! 栗色だ! その男子の髪の毛の色」
「栗色? あ! それだ。すっごいそれっぽい!」
どうしてそんな重要なことをさらっと後付してくんだよ!
高2女子2人組との会話でガリガリ精神力が削られていた昴だったが、そこだけは聞き逃さなかった。この高校の1年生で、おとなしそうな雰囲気で、身体の線が細くて、髪の毛は栗色――記憶力には自信のある昴が把握している限り、それらがすべて該当するのは星河だけだ。
「あ、あの、先輩。お話ありがとうございました」
「え? あ、もういいの?」
「もしかして友達だったとか?」
今さらそれを聞いてくるのか?
何か順番間違ってんじゃね?
「まあ、そんなことろですね」
そう言いたいところをぐっと胸中にしまい、余所行きの表情で人畜無害な1年生を演じながら、昴はすぐさま星河を探すべくその場を離れようとする。
――しかし、そこで今の今まで会話に参加してこなかった珠希が、ふと踊り場の窓から外を指差して呟いた。
「……あ、星河くん発見」
「はあっ!?」
どうしてこう女って生き物は――!!
本当に扱いづらい。
自由奔放に逃げ回る兎とそれを追いかける自分の図が脳裏に浮かんだ昴は、今日この瞬間、自分がひとつ嫌な方向に賢くなったのを実感した。
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