第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
今日も今日とて脅迫的に共感を強制
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女にとってはいずれも興味外だった。
それに一番最後の房中術とやらを珠希は実践したことがない。実践する相手もできたことがない。8割脚色された噂で描かれる【竜門珠希】はもう男10人くらい相手にしようと精根搾り取ってくるくらい凄いらしいが。いったい何が凄いのかはレーティングの都合上で描けないが、当の珠希が噂の【竜門珠希】から教えてもらいたいくらいだ。
「……行くぞ竜門」
「うんっ」
そう言って席を立つと、仮に女子力がないとしても主婦力はムダにある少女は昴の後について屋上を後にした。
☆ ☆ ☆
「……いねえな」
「いないねえ」
屋上を出て階段を下り、1階にある購買まで来たものの、そこには星河どころか生徒は誰一人残っていなかった。パンやおにぎりは完売していて、飲み物の類も申し訳程度に残っているくらいだ。既に昼食争奪戦は終わっているようだった。
「行き違ったみてえだな」
「けどあたしたちが来たルートが最短じゃない?」
「まあな」
「あとはトイレに寄ってるとか?」
「かもしんねえ。戻るか」
行き交う人で溢れる混雑の中を単独突破するより、歩行距離は長くなっても別ルートで迂回したほうが早いということはよくある。急がば回れ、というほどでもないが、昴の言うとおり星河と行き違いになった可能性は高かった。
「ねえ、そういえばあのコ、大丈夫かな」
「あのコって、ヤバい3年に連れてかれた男子?」
今しがた来た道を戻り、階段を上り1階から2階、そして2階から3階へと昇っていく途中、珠希と昴の耳にとある女子の、ちょっと不謹慎な空気をまとった会話が聞こえてきた。
「そうそう。だってあの3年生たち、あんまりいい噂聞かないじゃん」
「まあね。結局周りも誰も言えなかったしね」
「しかもあれ、見た感じ1年生だよね」
「結構おとなしそうな感じだったよね。あれじゃヤバいわ」
その会話に珠希と昴が足を止めたのはほぼ同時だった。
稜陽高校の今年度の新入生、珠希や昴らは合計で約250人いる。
そのうちここにいる2名、珠希と昴は除外されるので確率は1/248だ。
「けどやっぱ先生に言っといたほうがよくない?」
「うーん。でもさぁ……」
「だって身体の線も細かったしさ、下手に事件とか起こされても困るじゃん」
この高校の1年生で、おとなしそうな雰囲気で、身体の線が細い――珠希と昴が知る限り、それらはすべて星河に該当する。
「すみません。ちょっといいですか」
先に動いたのは珠希……ではなく、昴だった。
「な、何よいきなり?」
「あなた誰? って、1年生?」
「ちょっと聞きたいんですけど、その1年の男子、髪の毛どんな色し
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