第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
今日も今日とて脅迫的に共感を強制
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だって言ってるようなもんじゃねえか」
「な、何を言ってるのかなぁ昴くん!?」
「そもそもクラスメートと話したのって事務的な内容だろ?」
「そ、それはそうだけど……」
「それは友人と呼ばねえ」
「………………………………」
通常、事務的な会話しかしない相手との関係を、人は基本的に友人関係と呼ばない。
そんな当たり前な昴の指摘に、自らの記憶を都合よく、後ろ向きながらもポジティブに改竄していたことに気付いてしまった珠希は一切の返す言葉を失ってしまった。
「悪い。今のは完全に俺が余計なこと言った」
「………………ううん。昴くんは悪くないよ。今、全然当たり前のこと言ったもんね」
「いや、さすがに言いすぎた」
「………………大丈夫。私は大丈夫だから。これくらい……、うん。大丈夫だよ。あはははは……」
大丈夫とか言ってるくせに、どうして会話に妙な“間”が生じてんだよ!
自らによって都合よく改竄された自身の記憶と、“ぼっち”でクラス内難民化している現状との齟齬・乖離を受け、精神的混乱をきたしている珠希にそんなツッコミを入れたい昴であった。
しかし、明らかに死んだ魚のそれよりも濁った瞳をして引きつった口元から乾いた笑い声を漏らす珠希に対してそれは死人に鞭を打ち、傷口に世界中の塩という塩を塗りたくって擦り込むのと同等の行為だった。
「す、すまん……」
「………………謝らないで。金魚の糞に同情されたくない」
「お前やっぱ喧嘩売るの得意だろ? なあ、おい!」
――良い意味でも悪い意味でも、浮かれてようと落ち込んでようと珠希は珠希であった。
「それで、星河くんは? 一緒じゃないの?」
「今さら聞くのかよ、それ」
「まあ、ぶっちゃけ星河くん待ってたわけだし。あ、別に金魚の――」
「その表現やめろ。今、メシ時だから」
昴は珠希の前に右手を出してそれ以上喋るなと制する。周囲でも他の生徒が昼食を摂っている中、慣用句表現とはいえ金魚の糞を連呼するのはさすがに拙い。
「……で、改めて。星河くんは?」
「星河なら購買だよ。メシ買い忘れたとかで」
「ふ〜ん……」
「別に先に食ってていいんだぞ?」
「そういうわけにもいかないよ」
昼食時間にも終わりはある。それはわかっている。
自分の食事ペースを考えてもそろそろ箸をつけていい頃なのだが、それでも珠希は星河を待つほうを選ぶ。何より一人きりの、会話の無い食事がいかに味気ないものかを珠希は知っている。
しかし、昴はそれを却下した。
「いいから何か口に運んでろ」
「でも――」
「じゃないとお前が食べ終わらないだろ。それだと星河の奴が、待たせた自分のせいだって思うんだよ」
「でもそれなら星河くんだって同じじ
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