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竜門珠希は『普通』になれない
第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
今日も今日とて脅迫的に共感を強制
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起こした星河のような少年もいるし、そんな星河と十数年も仲良くいられる言動が乱暴な冷血系秀才である昴のような少年だっている。

「おいお前ら。絶対わざと俺をシカトしてるだろ、なあ?」

 明らかに苛立った昴の声が聞こえた気がしたが、珠希の視界には既に星河しか存在しておらず、星河の視界も珠希にだけ向けられていた。

「お前らぁ……っ!」

 脇から何か人の形をした物体がゴチャゴチャうるさかったものの、それがあなたの現在の立ち位置ですとばかりに無視を決め込んだ珠希は、そのままホームルーム開始を告げるチャイムが鳴るまで星河と楽しく話を弾ませていた。

「それじゃあ、また休み時間にね。珠希さんっ」
「うん。バイバイ」

 本気を出せばショタ気質を持ったこの世の女性を虜にするであろう笑顔を残して星河が自分のクラスである1年D組に戻っていくと、その場に残ったのはショタに目覚めようとしている長女体質者と、クールを通り越して冷血といっても過剰表現ではない秀才の二人。
 残念なことに、本当に、誠に、非っ常に残念なことに、珠希と昴、この二人は同じ1年C組のクラスメートである。

「……竜門。お前、星河に手ぇ出したらマジで×すぞ?」
「やだな、まだそんなことするわけないじゃん」
「そうか。それならい……っておい! 『まだ』ってどういうことだ? 『まだ』って!」
「昴くんこそ星河くんの保護者気取りですかうわやだー」
「てめぇ……。その言い方すっげぇイラつくな」
「あれ? 嘘を嘘と見抜けない人はネット見ちゃダメですよー?」
「んだと?」

 鼻であしらってくる珠希に対して食い下がる昴だったが、便所の落書きとも呼ばれる某巨大掲示板のあらゆる板に出没しては、今みたいにぎりぎりなラインで日常会話に聞こえなくもないレベルで会話してくる珠希に敵うはずもなく――。


「はいみんな席につけー。ホームルーム始めるぞー」

 ちょうどそこに担任教師が姿を見せ、ホームルームに向けて強制着席を促す。
 五十音順で並ぶ席順にて竜門珠希は1年C組のクラス最後尾。そして相武昴はクラスの先頭となり、二人の座席は教室の対角線上にある。そんな昴が窓際最後尾にある珠希の席まで来たとなると自分の席に戻るにも時間がかかる。

「ほら昴くん。席に座らないと先生に怒られちゃうよ?」
「チッ、うるせぇよ」

 まるで小学校3、4年生あたりにありがちな会話を交わし、そこで捨て台詞を吐いて自分の席に戻っていく昴の背に向けて珠希は思わず中指を突き立ててやりたい気持ちをぐっと胸中に仕舞い込む。
 だが今はもう高校1年。そんなくだらない男子‐女子間にありがちな会話はもう6年近くも前に卒業している珠希は、何事もなかったように一限の授業の準備をしつつ、ホームルームに備えて
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