第1章:ぼっちな姫は逆ハーレムの女王になる
今日も今日とて脅迫的に共感を強制
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り、一般家庭よりも広い敷地面積と家屋面積を持つ竜門家の家事をほぼ珠希一人で回しているのだから。
クラスメートの誰かが「今日遅刻しそうになってマジ焦った」と軽い笑い話にしながら話している朝8時過ぎという時間は珠希が家の中を掃除している時間であった。
なお今日の珠希の睡眠時間は約3時間。
最後に見た時計の針は午前2時を指していた。
言われずともこれがクリエイターの生活だと思わないでほしい。本物は貫徹や昼夜逆転がザラにあるのも当たり前の話だ。名の知れた原画家・イラストレーターの一人に数えられ、スタートしてからの仕事は早いと編集さんや周囲のスタッフから褒められる珠希ですらこの様である。
「おはよう珠希さんっ」
「どうした竜門。朝から陰鬱な空気出しやがって」
そろそろ一限目の授業の準備しなきゃなー、と気怠い頭で考えている“半ぼっち”状態の珠希は名前を呼ばれ、そちらに振り向く。
「あ、おはよ若……じゃなくて星河くん。あとついでに昴くんも」
珠希に声をかけたのは若宮星河と相武昴という二人の男子生徒。
栗色に近いサラサラ髪の毛に幼さを残す顔立ちに人懐っこいふいんき(変換できない)を持つ星河と、眼鏡が似合う知的クールながら、少しぶっきらぼうで乱暴な言葉遣いがアクセントにすらなっている昴。まったくもって正反対の容貌の二人だが、なんでも幼い頃からの大親友らしい。
知り合ったきっかけは前述の始業式の件だった。
貧血+過呼吸から助けてくれたお礼をしたい星河に押し切られたかと思うと、星河と急接近したと勘違いされて昴に迫られ、星河がその間をとりなしてこんな3人の関係ができていた。
「もうっ、珠希さんってば今また苗字で呼びかけたでしょ?」
「あはは。ごめんね星河くん」
「で、俺は星河のついで呼ばわりか」
「じゃあたまには二人別々に来なよ。金魚の糞くん」
特徴的な苗字のせいもあってか、あまり苗字で呼ばれたがらない星河に笑って謝りつつも、口調も切り口も鋭い昴に対しては容赦なく金魚の糞扱いする珠希。
この会話が耳に入ったのか、思わず吹きだすクラスメートがいたが、目敏く犯人を見抜いた昴が睨みつけると、睨みつけられたと思われる男子が居住まいを正して友人たちとの会話に戻っていった。
「わかったわかった。ごめん昴くん。訂正する」
「わかりゃいいんだよ。ちゃんとわかりゃ」
「うん。金魚の糞扱いはナシ。金魚扱いされる星河くんが可哀想だもんね」
「え? 僕が?」
本人にその意識は皆無だろうが、珠希からすれば星河は金魚より、同じ魚類であればグッピーとかネオンテトラといった小型の熱帯魚の類が放つ、一瞬たりとも目を離さずに見守ってあげたいふ
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