8部分:第八章
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ささか露骨ですね」
「分かれているそうよ」
「まあそうでしょう。それに私はもう入りましたし」
「じゃあ私は行くわ」
「どうぞ、では私もこれで」
速水も席を立った。そして自室に戻る。そして沙耶香も風呂場へと向かった。部屋には一時誰もいなくなったがやがて沙耶香が戻った。彼女は下着だけになりベッドの中に入った。灯りを消し眠りに入ったのであった。
次の朝目覚めるとすぐにベルを鳴らした。昨夜のメイドが部屋にやって来た。
「おはよう」
「おはようございます」
沙耶香が笑いかけると彼女は頬を赤らめさせた。昨夜のことを思い出したのであった。
「昨日はよく眠れたかしら」
「は、はい」
沙耶香の言葉に戸惑いながら答える。沙耶香はそうした少女の様子を見ておかしそうに笑いながらベッドから出た。黒いブラにショーツであった。
「服は自分で着るから」
「はい」
沙耶香の言葉に頷く。彼女は自分で言った通りベッドから出て服を着はじめた。白いカッターに赤いネクタイ、そして黒いスーツであった。髪は指をパチンと鳴らすと上にあがった。そしてそこで纏まったのであった。
「他の身支度は後でするとして」
「ご朝食ですか?」
「そうよ。今朝は何かしら」
「ソーセージとハム、チーズ、それにトーストです」
「トーストね」
「御飲み物はミルクですが。如何でしょうか」
「いいわね。私の好きなものばかりよ」
沙耶香は全部聞いたところで目を細めさせた。そしてテーブルに着いた。
「では頂こうかしら」
スーツの上にナプキンをしながら少女に言った。
「そのトーストをね」
「付けるのは何に致しますか?」
「何があるのかしら」
「色々ございます。ジャムにマーマレード、バターにマーガリン。ジャムにはストロベリーにオレンジ、それとブルーベリーとメロンがございます」
「豪勢ね」
「それにローズ」
「薔薇ね」
薔薇と聞いて沙耶香の目がまた細まった。
「薔薇のジャムとは洒落てるわね」
「薔薇は食べられますので」
「ええ、それは知っているわ」
沙耶香は少女の言葉に応えた。テーブルの上に右の肘をついてその手の甲に形のよいそのあごを乗せていた。
「ローマ帝国の頃からね。食べられていたわ」
「そうだったのですか」
「何時から食べられていたのかは知らなかったのかしら」
「申し訳ありませんが」
少女は俯いて答えた。
「いいわ、それはまた教えてあげる」
沙耶香はそれを聞いてこう返した。
「後で。二人っきりでね」
「二人っきりで」
「嫌なのかしら」
「い、いえ」
それをまた顔を赤くして首を横に振って否定する。だがそれは拒む態度ではなかった。
「もし宜しければ」
顔を赤くさせ、視線を横にやって述べた。
「お願いできますか?」
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