マブラヴ
1059話
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何故なら、俺を見ている酒呑童子は一切怯えた様子がなく俺の方へと視線を向けていたからだ。
寧ろその瞳には闘争心のようなものすら浮かんでいる。
仮にも酒呑童子を名乗っている以上、こっちの力を理解出来ない訳でもないだろうに。
いや、酒呑童子だからこそ。闘争を求めるのは、鬼が鬼たる由縁と言うべきか。
だが……まぁ、いい。こっちとして捕食すべき対象が逃げないで向かってきてくれるのなら、大歓迎なのだから。
「……さて、こう言っては何だが、詠春がいなくなった以上は俺も遠慮する必要はない。十分に戦わせて貰おうか」
「お前、何者じゃ? その姿、真っ当な人間じゃないのは明らかなようじゃがのう」
ゴキリ、と指を鳴らしながら告げてくる酒呑童子に、小さく肩を竦めて笑みを浮かべる。
「何者か。そう問われたのなら、さっきも言ったがこう答えようか。大魔王、と」
何だかんだと言っても、恐らく俺自身大魔王という言葉を気に入ってるんだろう。
少なくても、正義の勇者よりは大魔王の方が俺には向いている。
「はっ、笑わせるんも大概にせぇっ!」
「笑わせるか。俺の実力に関しては、直接戦って確認してみたらどうだ?」
クイクイ、と右手の人差し指を曲げて挑発する。
すると、酒呑童子にしてもそれは望むところだったのだろう。その凶悪な顔にニヤリとした笑みを浮かべ……次の瞬間、地を蹴って俺の方へと向かってくる。
瞬動と同じような技術なのだろう。次の瞬間には俺の目の前に姿を現していた酒呑童子は、大きく手を振りかぶっていた。
物理攻撃? いや、違う。酒呑童子は物理攻撃を無効としている炎獣を斬り裂いた。となると、この攻撃も恐らく……
拳が振るわれる瞬間に魔法障壁を展開し……次の瞬間には軽く目を見開くことになる。
先程の感嘆とは違い、驚きでだ。
何しろ、魔法障壁とぶつかり合った酒呑童子の拳は、数秒の均衡の後、魔法障壁へとヒビを入れ、やがて魔法障壁を破壊したのだから。
俺の魔法障壁は相応に強力なものであり、普通の魔法使い程度ではどうやっても破壊する事が出来ない程の強度を持っている。
それを数秒の拮抗状態の後ではあっても破壊するとは……ちょっと甘く見すぎていたか?
「っと」
魔法障壁を破壊したその勢いのままに振るわれる爪を、身体を半身にして回避する。
同時に目の前を通り過ぎた腕の手首を掴み、テコの原理を応用して投げ飛ばしつつ、酒呑童子の身体が空中で逆さまになったところで頭部目掛けて蹴りを放つ。
普通の人間であれば、それこそスイカ割りのスイカの如く頭部が粉砕するだろう一撃。
だが、酒呑童子は俺の手に掴まれている右手ではなく、左腕を振るって蹴りを受け止める。
鈍い音を周囲に響かせながらも、酒呑童子の
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