マブラヴ
1059話
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方がいいと思わないか?」
そう告げている俺の言葉の先では、炎獣の最後の1匹が酒呑童子の爪により斬り裂かれ、炎と化して散っていった。
これだけ大量の炎獣を滅ぼしたのだから、当然酒呑童子の両手もかなりのダメージを受けているし、炎獣の攻撃により身体中に多かれ少なかれ傷がついている。
だが、さすがに酒呑童子を名乗るだけはあると言うべきか、こうして見る間に身体の傷は回復していっている。
そんな状態でこっちに攻撃してこないのは、体力や傷の回復を待っているのもあるだろうが、俺達の話を聞いているからこそだろう。
つまり、このまま話が進めば俺と詠春の2人を同時に相手にしなくてもいいという。
この辺の周到さは、さすがに大勢の鬼達を率いて京都を荒し回っただけはある。
そして……事実、酒呑童子のその選択は間違いなく狙い通りと言えた。ただし、俺にとっても狙い通りだというのが救えないところだが。
「……分かりました。では、ここはアクセル代表にお任せします。ですが、相手はあの酒呑童子。本物か偽物かは分かりませんが、それでも相当の力を持っているのは事実です。ですから、無理をする必要はありません。向こうの方で他の鬼を片付けたらすぐに戻ってきますので、それまで持ち堪えるだけで構いません」
申し訳なさそうに尋ねてくる詠春だが、俺はそれにニヤリとした笑みを漏らす。
「これまで幾多の世界で敵となった相手を倒し続けてきた俺が、例え酒呑童子であったとしても、そう簡単に負けると思うか? この世界を含めて、どの世界でも大魔王と呼ばれてきた俺の力、その片鱗……見せてやるよ」
瞬間、俺の全身が白炎に包まれる。
そして身体に変化が現れる。
左右の側頭部と額からは天を衝くかのような長い角がそれぞれ1本ずつ伸び、同時に後頭部から伸びた角も側頭部から伸びた角の下を通るようにして前へと伸び、背中からは悪魔の如き羽が生え、腰の部分からは竜尾が伸びる。
人間としてのアクセル・アルマーではなく、混沌精霊としてのアクセル・アルマー。
その姿を見た詠春、そして酒呑童子までもが驚きのあまり動きを止めていた。
「どうだ? これが魔法界で大魔王と呼ばれた俺の姿だ。これを見て安心出来たと思うが?」
「え? え、ええ……その、大丈夫なのですか? 具体的に身体の方は……」
「ああ、問題ない。それよりもこれで俺にここを任せても問題ないと判断出来たんなら、さっさと愛娘の為にも行ってやれ」
その言葉に詠春は一瞬躊躇するも、すぐに無言で頭を下げると瞬動を使ってその場から消える。
最盛期よりも衰えたといっても、さすがに紅き翼のメンバーだな。その瞬動は非常に滑らかな動きだ。
そんな詠春を見送り、俺は視線の酒呑童子の方へと向け……思わず感嘆の気持ちを抱く。
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