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黒魔術師松本沙耶香  薔薇篇
6部分:第六章
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水はその問いに答えた。
「御心配なく。その為に来ましたから」
「じゃあここで見せてくれるかしら、それを」
「無論。それではこれで」
 コートのポケットからカードを取り出した。タロットの大アルカナの二十二枚のカードであった。
「これで調べてみましょう。何で出して欲しいですか」
「占い方はどれでもいいわ」
 沙耶香はそれには頓着しなかった。
「何でもね。好きなので出して」
「わかりました。それでは席をお借りしますね」
「ええ」
「本当は。貴女が今いる場所で二人で占いたいのですけれどね」
「生憎そんな気分じゃないのよ。悪いわね」
「やれやれです。それでは」
 テーブルに座る。そしてそのカードを一旦宙に舞わせた。大アルカナの二十二枚のカードが輪となって彼の周りを巡りはじめた。まるで生きているかの様に。


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